<新型コロナウイルス>支援各国の学校への影響について
新型コロナウイルスの感染が中国の武漢市で確認されたのは昨年末の12月、日本で最初に確認されたのが1月16日だそうです。それ以来、新型コロナウイルス関連のニュースを耳にしない日は無いほど、世界中に感染拡大し、かつて経験したことのない危機に遭遇しているという実感が日増しに強くなっています。東京2020オリンピック・パラリンピックの延期が決定され、日本だけでなく、全世界でスポーツや文化・芸術的な主要イベントは自粛、延期、場合によっては中止され、経済的な停滞は心配事ではく、実際に現実的なものとなってしまいました。
このような異様といっても良いような停滞感や焦燥感は過去に経験したことのないはじめての感覚で、何とも言えない気持ちになっています。
月並みですが、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策の基本方針(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000599698.pdf) にある、
「新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえ、 感染の不安から適切な相談をせずに医療機関を受診することや感染しやすい環境に行くことを避けていただくようお願いする。また、手洗い、咳エチケット等を徹底し、 風邪症状があれば、外出を控えていただき、やむを得ず、 外出される場合にはマスクを着用していただくよう、お願いする。」を個々人が適切に守り自己防衛をするしか打つ手がないのが今日この頃です。
<WHO世界における感染者数マッピングより流用>
さて、民際センターでは、皆様にご支援頂いていますメコン5か国の新型コロナウイルスにおける学校の現状をわかる範囲でまとめてみました。 どこも若干の温度差はあるものの、基本的には、全世界的に共通の危機として各国対策を実施しているようです。
タイ
タイの小学校と中学校は通常、3月から5月中旬まで夏休みのためお休みです。(タイの場合この時期が本格的夏だから) それでも、タイ政府は、バンコクと近隣の州のみで、大学、私立/公立/国際学校、個別指導学校を含むすべての教育機関を閉鎖すると発表しました。期限は夏休みが明ける5月中旬の2020年の新学期を迎える時までとし、その時期の状況を鑑みその後を決定するようです。その他の地域においては、政府から具体的な発表はなされていないようです。
子どもに対する政府からの具体的な措置はまだありません。 学校、大学、学習塾などで子どもたちが集まるのを防ぐために、学校と教育機関を閉鎖するのが精一杯のようです。
経済的にも、アウトブレイクの影響により、多くの企業が一時的に閉鎖および減速し、さまざまな業界の多くの人々が一時的に失業することが予想されていますが、政府としての財政的な援助については発表はされていません。特に貧困地区への経済的な影響は非常に早く、ますますこの地区の子どもたちの就学率への影響は大きな痛手となることが予想されています。
EDF-Thai(タイ事業所)では、5月中旬の始業の時期までに状況に変化がない場合は、学校に必要なウイルス対策キットの提供も検討しているようです。
ラオス
政府機関から具体的な政策を入手、そして期待することは難しい国ではありますが、3月19日から4月21日まですべての教育機関を閉鎖することにより予防策を講じるとの発表があったようです。 ただし、状況はいつでも変わる可能性もあるとのことです。EDF-Lao(ラオス事業所)では、それでなくとも政府の教育に対する取り組みが十分ではないのに加えて、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、より一層教育関連状況が劣悪化することを非常に恐れています。また、医療体制も十分でなく、マスクや消毒液はもとより人工呼吸器の不足や医療不足なども懸念されています。
カンボジア
政府の要請により、シェムリアップ(Siem Reap)地区の大学を含めたすべての学校は先月に閉鎖され、その後プノンペンとカンボジアの全学校が先週閉鎖されました。
政府からの子どもたちに対する具体的な対策は、学校の休校のみで、マスクを着用したり、他の人から物を手にしたり受け取ったりするときに手を洗う、混雑した場所に行かないなど、基本的なウイルスへの対策を注意喚起しています。
経済も、他国同様にサービス業、特に観光業の落ち込みは激しく大きな打撃となっているようです。また、マスクや消毒液などは、値段が高騰していてほぼ入手が困難なようです。
ベトナム
他国同様に、小中学校及び高校は休校になっています。大学は各大学に運営をゆだねられていますが、政府は休校を要請しています。
幸いなことに、10歳以下の子どもたちの新型コロナウイルス感染症による死亡は確認されていませんが、子どもたちには、外出をしない、都市部の学生はオンライン学習の実施、グループ活動の自粛などを対策として実施しているとの事です。
経済への影響も大きく、2020年の第1四半期に、弱い立場の中小企業などはすでに倒産し始めていて、従業員が無給で働くなどの事象がおきています。第2四半期には、すべての企業が金融リスクに直面し、倒産が拡大し、ほとんどの分野が麻痺し、経済が急落し、失業者と貧困者の数のみが増加することが予想されているようです。
ミャンマーについては、まだEDF-Myanmar(ミャンマー事業所)から情報が入手できないため、あらためてご報告します。
日本
民際センターの東京の事務局においては、3月25日午後8時、小池百合子都知事の新型コロナウイルスに感染する「感染爆発の重大局面」の発表による今週末の不要不急の外出自粛の要請及び企業・団体に対する在宅勤務、時差出勤の要請に基づき、27日(金)30日(月)を在宅勤務体制としています。以降も状況を判断し、感染拡大防止と職員の安全のため、引き続き対応を検討していきたいと存じます。
なお、危機管理体制の整備により、在宅勤務体制でも通常通り業務は可能ですが、初めてのことでもあり、電話対応等ご迷惑をお掛けすることもあるかもしれませんが、スタッフ一丸となって取り組んでまいります。
<2020年3月27日現在>
引き続きご支援をよろしくお願いいたします。