ミャンマー事務所の職員インインにインタビュー
民際センターのミャンマー事務所(EDF ミャンマー)のスタッフ、インインが職員研修のため10月3~21日まで来日し、奨学金のデータ処理や会計、FRなどについて研修を受けました。来日を機に、ミャンマーの子どもたちの現状について尋ねました。
<ミャンマー事務所職員のインインさん>
―― 自己紹介からお願いします。
インイン:私はミャンマーの西、ラカイン地方の出身です。ヤンゴン外国語大学で日本語を専攻して3年間勉強しました。
卒業した2009年、日本語ができても日本の会社があまりなかったため、日本語を生かした仕事がなかなか見つかりませんでした。
卒業2年後の2011年に日本の印刷会社のミャンマー支社に就職できました。
その仕事で研修として日本(飛騨高山)に3ヶ月間、滞在しました。
その会社で約3年間働き、次に友人の紹介で、ミャンマーの地方で学校建設をしていた日本のNPOで働くようになりました。
そこで働いているうちにNPOの仕事にやりがいを感じ始めました。そこで約2年間働いてから、EDFミャンマーに就職しました。
―― 奨学金を提供している子どもたちの状況を話してくれますか?
インイン:両親が揃っていない家庭が目立ちます。お母さんや祖父母が日雇いの農作業労働をしています。
農閑期には洗濯や掃除などをして日銭を稼ぎます。
子どもたちも手伝うことが多いようです。夜、手伝いから帰ってきても、電気のない家の子どもたちは勉強できません。
もう1つの問題は村に中学校がない地方の村の場合です。
そのような村では、お寺が子どもを引き受けて教育するか、村人が村の教育委員会を作ってお金を出し合って学校を作り、先生の給料も払います。
生徒数が増えると、教育委員会やお寺が政府に認可を求める場合があります。
認可を得ても、政府はあまりお金がありませんから、村の教育委員会やお寺が先生の給料を半分負担する場合もあります。
ミャンマーでは地方でも教育は大切だと考えている人が多いので、貧しい人でも学校建設や経営にわずかでもお金を出す人がいます。
―― 先生の生活はどうですか?
インイン:中学校の先生の給料は200ドルぐらい。
特に家族がいたら、その給料では生活が厳しいので、家で塾を開きます。それで副収入を得ます。
日本もそうだと思いますが、塾に通える子は勉強が進み、通えない子は成績が落ちてしまいがちです。
―― 学校の建物は?スポーツ用品や実験器具などの学校用具は整っているのですか?
インイン:都市部の学校以外の中学校は例えば、理科の実験道具はありません。
体操の授業はありますが、体操着もスポーツ用具も揃っていません。
―― ミャンマーが民主化されましたが、民主化前と比べて現在の社会の状況はどうですか?
インイン:民主化によって自由の度合いが上ってきました。
例えば、これまであまり手に入らなかった本を容易に買って読むことができるようになりました。新聞が政府を批判しても大丈夫です。
一方、物価の上昇はすごいです。
また、税金もこれまでは会社に勤めている人は税金を払わなくてよかったのですが、2年ぐらい前から税金を支払うようになりました。
社会制度を作っていくために政府には収入が必要だからです。
経済が発展し、貧しい子どもたちもその恩恵を受けてせめて中学校を卒業できるようになればよいのですが、それにはまだ時間がかかると思います。