定年退職した夫の突然の死とカンボジア女子寮寄付
昨年12月、カンボジアの高校に女子寮を寄付した内梨さんが、建設が完成した同校を訪問し、女子寮で生活する高校生たちに会いました。
以下は内梨さんの手記からの抜粋です(一部追加修正しています)。
2015年3月に定年退職した夫が、これから第2の人生を歩もうと希望に満ちていたのに、同年11月に突然の事故で亡くなりました。
落ち込む日が続きました。夫は退職金をほとんど使わずじまいでした。
「本当の幸せって何だろう?」「お金って何だろう?」と自問自答する日が続きました。
そのとき、ダルニー奨学金のパンフレットが目に留まり、夫が残したお金の一部を何かに役立てたら・・・という考えが浮かび、カンボジア女子寮建設を選びました。
高校は首都プノンペンから車で3時間半ぐらい南にあるカンポット県にあります。
2016年12月、女子寮ができたので訪問し、そこで生活する高校生たちに会いました。
同校は小学校から高校までの12年制で、生徒は全部で1600人ぐらい。門から入ると、たくさんの生徒が大歓迎してくれました。
歓迎を受けた後、校長先生や県の教育委員の方から同県の教育状況や制度について説明を受けました。
同県の中学就学率は約30%とのこと。
特に女性は自宅から10キロ以上離れている生徒が多いため、通いきれずに学校をやめてしまう生徒が多いとのことでした。
<歓迎式。左から4人目が内梨さま、右隣がお父様、後列でお二人の間に立っているのがチャンディ>
学校の敷地内にある女子寮に移動しました。
シンプルで綺麗な寮が建っていて、そこに23人の高校生が生活していました。
寮の裏にトイレも建設してもらいました。
建設にあたっては、カンボジア事務局長のチャンディさんが何度も足を運んでくれたそうです。
先生、地元の自治員や警察官の方々が交代で何度も寮の見回りをしてくれているそうです。
亡くなった夫の写真を持参したところ、寮の壁に掛けていただけることになりました。主人もさぞかし喜んでいることでしょう。
<寮生たちと。完成した女子寮の前で>
私は3人の生徒から少し詳しく話を聞きました。
この3人は寮ができる前、バイクで通学していたそうです。
寮ができて通学時間はもちろん、通学費(ガソリン代)も節約でき、家計が助かっているそうです。
今は週末のみ自宅に帰り、寮に戻るときに1週間分の食糧(お米等)を持って帰ってくるそうです。
3人の所有物を見せてもらいましたが、布団とショルダーバッグのみでした。
カンボジア人は日本人にとても好意を持っていることを感じました。
この学校を訪れた日本人は私を含めて3人で、この3人が学校で活動した行為をすべて記録していました。
寮が建設されたことで、寮に暮す高校生たちは安心して高校に通い続けることができます。
その喜びが寮生たちの笑顔に表れていました。
寮建設の寄付を選んで本当によかったと思いました。