【ラオス】少数民族の村で教えるという理想の仕事
~元奨学生からの感謝の手紙~
ラオスの少数民族「タリアン族」出身のペッナリーさんは、現在25歳。少数民族教師養成奨学金のサポートを得て、サーラワン教師養成短期大学を2018年に卒業しました。卒業後からずっと無給のボランティアとして僻地の学校で働いています。結婚して子どももいますが、自宅から遠く離れた学校で働いているため、平日は家族と離れて学校のそばにある寮に滞在し、雨が降っていない週末にだけ家へ戻る生活を続けています。有給雇用の教師になるチャンスを待ちながら、教師という理想の仕事に情熱を注ぐ日々を送る彼女から届いた1通の手紙をご紹介します。
ペッナリーさんが教える学校の校舎と子どもたち
支援者様、EDF*関係者の皆様
(*EDF…The Education for Development Foundation、民際センターを含む各国事業所の総称)
私はペッナリー・シャイアセンと申します。セコン県ダクチュン郡にあるノンサヴァーン村で暮らしています。2017年から2018年まで少数民族教師養成奨学金のご支援を受け、2018年に卒業しました。卒業後の2019年からボランティア教師に志願し、働いています。
現在、セコン県ダクチュン郡のアヨウン小学校の小学校準備過程で教えています。学校は私の住む街から42km離れた農村地域にあります。学校までの通勤路はぬかるんだ泥道で、乾季にしか通ることができません。電気、電話、インターネットはなく、水道もありません(私たちはセカマン川の近くで水浴びをします)。この村への行き来は非常に困難です。
学校には3教室しかありませんが、そこで6学級が学んでおり、小学校準備過程から小学校5年生までのクラスがあります。生徒数は、女生徒55人を含む計94人です。私は小学校準備過程で24人の子どもたち(うち女生徒12人)を教えています。
校外学習にて 一番左がペッナリーさん
暮らしは厳しいですが、ここで頑張る道を選びました。生徒たちには、皆等しく教育を受ける権利があるからです。この権利を実現すべく、彼らの力になりたいと思っています。それが私の喜びです。
私が教えるアヨウン小学校は私の住む地域から非常に遠く、この数年間、家族を家に残して教えに来ています。雨季・乾季などの天候に関わらず、教師を辞めようと思ったことは一度もありません。ダクチュン郡の街から学校まで向かう道すがら、私はいつも生徒たちの顔を思い浮かべ、この国に訪れる未来や希望にも思いを馳せます。子どもたちが私を待っています。
最後になりますが、支援者様、そして奨学金を通じて私への教育支援に関わってくださったすべての方に、深い感謝と御礼を申し上げます。また、国民の発展をめざす政府の政策、とりわけすべての子どもたちがもれなく教育を受けるための政策についても、感謝しています。
手紙の文面と、子どもたちと微笑むペッナリーさん
ペッナリーさんの学校のある村では、子どもたちも村人も公用語であるラオ語を話すことができず、タリアン族やカトゥー族など地元少数民族特有の言語だけを話します。彼女が志を高く持ち続けるモチベーションは、都市部と農村部の大きな教育格差を見てきた経験にあります。彼女はいつも村の生徒たちのことを考え、私財を費やしながら、困難に立ち向かい続けます。子どもたちと向き合い、「子どもたちが学べることこそが喜び」であることを思い出すたびに、彼女は何度でも強さとやる気を取り戻すのです。独自の言語で教えられるこうした教師の存在は、少数民族が暮らす地域の教育の発展に大きな役割を果たしています。
少数民族教師養成奨学金の締切は8月30日です。
*これまで主なお支払方法は「卒業まで一括払い」でしたが、「卒業まで毎年払い」も可能になりましたので、ぜひご利用ください。