メコン5ヵ国のお正月
日本のお正月は1月1日ですが、タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジアの4カ国では毎年4月半ばにお正月を祝い、ベトナムは1月下旬頃にお正月を迎えます。民際センターが支援するメコン5ヵ国の新年の過ごし方についてご紹介します。
ソンクラーンの水掛け祭りで賑わう街(タイ、バンコク)
■タイ
タイのお正月は「ソンクラーン」と呼ばれ、旧正月にあたる4月13日~15日が祝日となります。国民の9割以上が仏教徒であるタイでは、昔からソンクラーンで仏像や仏塔、年長者などに水を掛けて敬意を払うという伝統的な風習がありました。近年ではそれが転じて、街を行き交う人々が水を掛けあって楽しむ恒例行事「水掛け祭り」としても親しまれています。タイの暑さが最も厳しくなるこの時期に、街が水浸しになるほど水を掛けあい、暑気を和らげます。(2020年からの3年間は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ソンクラーンでの水掛けは禁止となっています。)
実はこの「水掛け祭り」、タイだけのもではなく、近隣の仏教国であるミャンマー、ラオス、カンボジアでもお正月の一大行事となっており、その背景に仏像や年長者を敬い水で清める風習があることや、厳しい暑さをしのぐ行事であることも各国に共通しています。
■ミャンマー
ミャンマー歴では4月中旬にお正月を迎え、その前後4~5日間が祝日となります。前年の汚れを清め洗い流すという意味で「水掛け祭り」(ティンジャン)がかなり盛大に行われるようですが、軍事政権下となってからは新年の祝賀を自粛するニュースを目にします。
■ラオス
「ピーマイラオ」と呼ばれるラオスのお正月。毎年4月14日~16日に祝賀行事が行われます。無礼講として水を掛けあう「水掛け祭り」をはじめ、ラオスの伝統的な儀式「バーシー」(幸福や繁栄を願いながら木綿の糸を手首に巻き付ける習わし)が有名です。
■カンボジア
クメール正月と呼ばれるカンボジアの旧正月は、ラオスと同じ4月14日~16日。「チョール・チュナム・トメイ」とも呼ばれ、各家庭で祭壇やお供え物を用意し、新年の幸せを祈ります。地域によっては「水掛け祭り」も行われ、新年の訪れとともに雨の恵みを祈ります。盛大に祝われるクメール正月の他に、元旦を国際正月、2月を中国歴の旧正月として祝う文化があります。
■ベトナム
メコン5ヵ国の中で、ベトナムだけは例年1月下旬~2月上旬に「テト」というお正月を迎えます。2023年は1月20日~26日が公式日程として決まりました。年末には国内各地で花市が開催され、買い物客で賑わいます。実家に帰省したり、大掃除をしてから新年を迎えたりするなど日本とよく似た習慣があり、また新年の挨拶やお正月料理、お年玉がある点なども共通しています。祭壇にお供え物をし、先祖を祀る習わしもあります。
メコン5ヵ国のお正月、いかがだったでしょうか。各国のお正月と比較することで見えてくる、日本のお正月の良さもあるかもしれません。皆様の新年が、実り多き一年となりますように。
タイのお正月、ソンクラーンにて仏像を水で清める様子