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3月 2023

奨学生を見守るタイのダルニー奨学金担当教師

37歳のスイチャック(Suwichak Thawongsri)さんは教師になって6年目ですが、もともとはバンコクの学校事務で働いていました。学校では過去3年間にわたり民際センターのダルニー奨学金を担当してくれています。今回、スイチャックさんがいかに教師になったか、普段どのような問題意識をもって教職にあたっているかという想いを伝えるメッセージが届きました。

 

教師を目指したきっかけ

私は教師になる前、学校の事務員として働いていました。そこでは学校の事務処理の仕事を担当していましたが、教師たちがミーティングやセミナーへの参加などを目的にたまに外出する際、自分が教師の代理を務める機会がありました。そのとき生徒と良い関係性を育むことができ素晴らしい体験をすることができました。この経験をきっかけに、この学校で正規の教師となり生徒たちを教えたいと強く思うようになりました。

 

スイチャックさん(一番後ろ)と生徒たち

 

教師は教育の中心的存在です。教師には教育全体を良い方向へ導く役割があります。生徒を教えるための知識に加えて、生徒が高い志を持てるように励ますことも必要です。物事の善悪を教え、道徳や常識を教え、小さな子どもたちのお手本になるように教えることも然りです。

また教師は生徒の第二の親となり、子どもたちが幸せであるかどうかにも目を配る必要があります。子どもたちの成長を支え、悪事に手を染めないよう子どもたちを守り、国の将来にとって立派な人材となれるよう手助けをする必要があります。

 

現地の教師の視点から見えてくる問題

私の経験上、経済的に恵まれない家庭の子どもたちは親の貧困の影響下にあり、労働力とならざるを得ない現状があります。大半の生徒たちの親は農家や、ゴム農園で働く日雇い労働者です。子どもたちは休む間もなく働く両親を支えるために早朝の1時や2時に起床し、ゴムの木から樹液を採取しに行きます。その後急いで制服を着て学校に行くのですが、そのような子どもたちの中には朝食をとる暇もない子どもたちもいます。

テクノロジーの進歩により、一昔前と今の子どもたちをめぐる問題は変わってきました。今や多くの子どもにとってSNSへのアクセスは容易です。結果としてスマホゲームへの依存や、暴力的なゲームに起因した問題行動などが見られることがあります。それに加えて、両親の離婚や、低迷した経済による貧困化、また県外や海外へ両親が出稼ぎにいって親と子どもが離れて過ごすといった家庭環境に起因した問題もあります。
*田舎の貧困家庭でもスマホを手に入れやすい環境があります。

 

スイチャックさんと家族

 

私は、恵まれない子どもたちにより良い未来と教育の機会を与えるために奨学金事業を行っている民際センターに関わることができ、大変誇りに思っています。
一部の支援者の方は、奨学金のみならず生徒にプレゼントセットを贈っていただいていることに感動しています。受け取った子どもたちは、とても嬉しそうにしています。そのような支援は、支援者の方と生徒の間の絆を深めています。

 

奨学金は生徒たちへの支え

忘れられない生徒の一人に、シリカンヤ・タニという中学3年生の子がいます。

彼女の両親は離婚していて、父親、母親ともに再婚しており、それぞれ新しい家庭を築いていました。結果として、彼女は年老いた祖父母と一緒に貧しい生活を送っていました。祖父母は、わずかな収入はあったようです。

シリカンヤが父親に電話したいときは、叔父を通してメッセージを伝えてもらっていました。父親の新しい妻がシリカンヤを嫌っており、彼女は直接父親に電話できなかったからです。母親は、タイ南部にあるパッタルン県に新しい家族とともに引っ越しており、シリカンヤに未練はなかったので連絡を取ろうとしませんでした。

しかし、シリカンヤは優秀な生徒でした。彼女はクラスで上位の成績を修めていました。彼女は中学を卒業することができましたが、彼女を経済的に支援できる人は誰もいないため、残念ながら彼女が高校に進学できるかはわかりません。

 

スイチャックさんと生徒たち

 

ダルニー奨学金は、経済的に困窮している家庭から通うわが校の貧しい生徒たちにとって大きな支えです。奨学金は、生徒たちの家庭から経済的負担を軽減し、もっと勉強しよう、という気持ちを後押ししてくれます。

子どもたちは、困ったときに手を差しのべてくれる人がいることで自分たちは見捨てられていない、無視されていないと実感しています。

私は、奨学金を与えてくれる支援者の方々に感謝いたします。あなた方は、子どもたちに希望を、勉強する機会を与えてくれました。奨学金は、子どもたちだけでなく、子どもたちの家庭までも救っています。この奨学金こそ、子どもたちの日々の生活に必要なのです。支援者の方々が、仕事と家庭の両面において成功されることをお祈りしています。

 

生徒に囲まれるスイチャックさん

 

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。皆様からのご支援、お待ちしております。

ダルニー奨学金について詳しくはこちらボタン

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