ラオスの現状と中途退学率上昇の兆しについて
新型コロナウイルス感染症による死亡率は、報道とラオス政府の情報によると、それほど高くはなかったラオスですが、経済への影響はとても大きく、ラオスに大きな打撃を与えました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻による世界的な経済への影響は、厳しい状況にあったラオス経済をさらに悪化させています。
インフレ率は、通常の場合、年平均5%で、1桁程度でしたが、ラオス中央銀行によると、2022年半ばからインフレ率は34%になり、2023年には40%になるという予測です。
また、ラオスの通貨であるキープは安値を更新していて、為替レートは、2021年まで1米ドル=9,000Kip前後でしたが、現在は1米ドル=16,930Kipになっています。ラオスは輸入に依存しているため、特にエネルギー関連と食料は40%から100%値上がりしています。また、教育費も前年比10%程度増加しています。このような状況は、下記の表の通り、中途退学(ドロップアウト)率において非常に憂慮すべき傾向だと考えています。
中途退学率(Student Dropout Ratios)*ラオス教育スポーツ省調べ
年度 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 |
小学校(Primary School) | 4.1% | 4.3% | 4.3% | 4.1% | 4.9% |
中学校(Lower Secondary school) | 9.2% | 9.5% | 10.3 % | 10.3% | 12.4% |
初等教育(小学校)段階での退学率は例年4%をわずかに上回る程度でしたが、2022年は5%近くまで上昇しています。中等教育(中学校)になると、これまで約10%前後だったものが、2022年には12.4%に上昇しています。この中途退学率は、入学したその年に退学した生徒のみをカウントしており、学齢期に入学しなかった生徒、また、学業に支障を及ぼすほど多く欠席する生徒はカウントしていないため、それらを加えると30%程度の率になります。
このような状況は、主に貧しい家庭の生徒が、中途退学し、生活の為に、働かなければならないこと、時としては非合法な仕事へ従事しなければならないことも示唆しています。多くの少年少女が、より高い賃金が得られる都市部や近隣諸国、特にタイに職を求めて移動しているのを私たちは目の当たりにしているのです。
民際センター及びEDF-Lao(ラオス事業所)は国際協力NGOとして、県や郡の教育機関にもこれらの問題を伝え、生徒の両親や奨学生に教育の重要性を理解してもらうよう働きかけています。しかし、すべての問題を解決できるわけではありません。このような貧しい家庭の生徒が学校を卒業できるよう支援し、退学者を減らし、劣悪な労働環境や最悪の人身売買に巻き込まれる危険を減らすため、何とか学校に通い続ける事が出来るように奨学金の支援を求めています。
「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。皆様からのご支援、お待ちしております。