タイ：ダルニー奨学金担当教師より「奨学金は小さな光」

タイのナコンパノム県の中学校で特別専門教師として働くクワンチャイ ブラームークさん（57歳）。教師歴29年であると同時に、ダルニー奨学金担当歴22年でもあるクワンチャイさんから、教師を目指した背景、理想的な教師像や、タイの子どもたちに迫る社会問題、そしてダルニー奨学金のサポートを通じて感じたさまざまな思いを伺いました。

勤務先の学校で生徒たちとともに

夢だった教師に

私は学齢期に達した頃から、教師になって山間部の先住民の子どもたちに教えることが長年の夢でした。私には、教育の機会に恵まれない子どもたちを助ける活動に参加したいという思いがあります。同じく教師になった私の年上のきょうだいたちに影響され、私も幼い頃から教師になることを夢見てきました。

教師とは、子どもたちにとって、両親の次に模範となる存在です。子どもたちに生活と学問の基礎を教えることで、将来社会に出る準備や、立派な大人になるための準備をさせるのが教師というものです。生徒が学問や道徳意識を高めるのにとても重要な役割を果たします。

 

タイの子どもたち　昔と今の違い

現在の子どもたちの問題は、年齢よりも大人っぽい考えや行動をすることです。ソーシャルメディアを通して簡単にさまざまな情報にアクセスすることができるため、年齢にふさわしくない価値観を持ったり、行動をしたりすることで、薬物問題・事件・対人トラブルのようなさまざまな社会問題に巻き込まれてしまいます。

昔と今の子どもにはいくつかの違いがあります。昔の子どもたちは、世の中がまだ経済発展する前だったこともあり、とても恥ずかしがりやで礼儀正しかったです。伝統的な考え方や家庭環境を持ち、両親は子どもと一緒に暮らし、家庭には温もりがありました。しかし、今の子どもたちはより良い経済状況・便利な暮らしの中で育っており、生活費や物価の上昇に伴い、家族は他県に出稼ぎに行かなければならない状態です。親子が一緒に暮らせない場合もあります。昔に比べて、生活に介入し、現在の子どもたちの価値観や物の見方に影響を与えるような多くの刺激もあります。

授業中のクワンチャイさん

ダルニー奨学金を通して見えたもの

私は、民際センターの奨学金担当教師として、生徒たちが教育のために奨学金を受給する世話ができることを嬉しく、誇りに思っています。奨学金が子どもたちを励まし、力を与え、両親たちの経済的な負担を和らげてきました。生徒の奨学金審査の過程から奨学金を受け取るまで、それぞれの生徒が直面しているさまざまな問題を実感していますので、その経験を生徒の更なる援助に役立てていきたいと思っています。

この活動を通して、ダルニー奨学金を受給した生徒たちの感謝の気持ちと、子どもたちにより良い教育を受けさせたいという強い責任感を持った両親たちとの良い協力関係に触れることができ、感動しました。

私は今でも、もう少しで奨学金をもらうチャンスを逃すところだったダルニー奨学生のことを覚えています。当時、彼の学業成績は最下位で、素行が良くなく、わんぱくで手に負えませんでした。しかし彼は賢い生徒でした。最終的には、ダルニー奨学金選考委員会は、彼に奨学金支援を受けるチャンスを与えることに同意しました。ダルニー奨学金を受給した後、彼は行いを改めて勉強に集中しました。彼は今、製薬会社のマネージャーとして働いており、安定した仕事に就き、自立して、幸せに家族を支えています。

ダルニー奨学金は、経済的に恵まれない生徒たちの士気を高め、より良い未来のため、夢や希望を叶えるために励ましてくれます。奨学金はまるで、貧しい生徒たちに明るい未来をもたらす小さな光のようです。

最後に、民際センター職員のひたむきな努力と、恵まれないタイの子どもたちを支えてくださるすべての支援者の皆様に、感謝申し上げます。

 

クワンチャイさんとダルニー奨学生たち

 

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。皆様からのご支援、お待ちしております。

タイのダルニー奨学金の締め日は延長され3月31日になりました