バイオダイジェスターを待つシンマノ中等学校のご紹介
寄贈候補先の学校について
民際センターでは有機ごみをリサイクルするバイオダイジェスターをラオスに贈るプロジェクトを行っています。
第一回バイオダイジェスターの贈り先候補は首都から50kmほど離れたヴィエンチャン県ハッサイフォン郡にあるシンマノ中等学校を予定しており、今回はその学校について画像を交えながらご紹介いたします。
シンマノ中等学校には中学校1年生(年齢的には日本の小学校6年生に該当)から高校3年生までの子どもたちが通っており、現在の生徒数は540名です。教師の数はボランティア(無給)教師含め31名が在職しています。
この学校に通う子どもたちの親はほとんどが米農家です。農機具や、収穫量を増やすための化学肥料は使用しないため、彼ら自身の米作の知識と天候の変化・自然条件のみに頼りながら米を育てています。
メコン川沿いに位置するハッサイフォン郡。鉄道が通り、川にはタイの援助で贈られた橋がかかっている。
シンマノ中等学校では11時半からお昼休みが始まり、13時に授業が再開します。大半の子どもたちはその時間を使って家に戻り、家で昼食をとります。一部の生徒は学校に残りますが、日本のような給食制度はないため、そのような子どもたちは最寄りの屋台でお金を出して昼食を買います。
教師は外で昼食を買うこともありますが、たいていは昼休みは学校に残り、校内にあるキッチンで自分たちの昼食を作ります。学校ではプロパンガスを購入する予算はないため、木炭を使って火をおこし調理しています。
木炭で調理をするための用具
シンマノ中等学校での授業の様子
プロジェクトのメリット
ラオスでは家庭ごみに対する政策が追いついておらず、首都など一部の地域では定期的なごみ回収があるものの、一般的な家庭ごみは埋めるか、燃やされているのが現状です。またラオスではエネルギー再生施設がないため、ごみはリサイクルされることなく捨てられています。民際センターでは、このようなラオスのごみ問題に着目し、学校にバイオダイジェスターという有機ごみを再生エネルギーに変えるシステムを導入することを計画しました。バイオダイジェスターは学校敷地内の緑地や畑に設置し、有機ごみを投入することで中のバクテリアがそれらを分解します。ごみはバクテリアの分解作用により液体肥料や調理用ガスへと姿を変えます。
バイオダイジェスター設置のメリットは大きく分けて3つあります。一つは、授業の一環として子供たちがバイオダイジェスターを利用することで、将来を担う次世代に環境に関する教育を与えることができます。二つ目は、バイオダイジェスターの副産物である肥料とガスを学校内で有効活用し、子どもたちや学校関係者の生活を豊かにできることです。子供たちは学校敷地内の畑に液体肥料をまいて、より多くの収穫を得ることができます。また、教師は、ガスで調理することで、木炭を買う必要がなくなります。スイッチ一つで点火するため、調理にかかる時間も短縮されます。三つ目のメリットは、コミュニティの中心に位置づけられる学校がこのような取り組みを行うことで、近隣農家や地域を巻き込むことができ、人々の環境に対する意識を変えることに貢献することができることです。
●プロジェクトの概要とメリットについては、こちらで詳しくご覧いただくことができます。
●プロジェクトについての過去の記事も併せてお読みください。「EDFラオス事業所所長の想い」 、「ラオス内でのバイオダイジェスター設置成功事例」
授業を受ける生徒たち
(左)学校の畑の手入れをする女子生徒 (右)体育の授業を受ける男子生徒
民際センターからのお願い
バイオダイジェスターを子どもたちが見て、触れると、その子どもは学んだ知識を家で話します。話すことで、環境に関する知識はその子どもの家族や知人に伝わり、やがて大きな波及効果へとつながっていきます。本プロジェクトに関するご意見・ご質問がございましたらこちらからお気軽に問い合わせください。