12
1月 2024

ニコン様とラオス現地視察へ行ってきました

製造拠点のあるラオスで、地域に根差した就学支援

カメラやレンズなどの製造を中心に、世界の映像文化を牽引してきた株式会社ニコン様。日本だけでなく世界各地にその製造拠点をお持ちですが、カメラの生産工場の一つがラオスのサワンナケート県にあるご縁から、2014年より毎年「ダルニー奨学金」を通じてラオスの中学生100名の就学を支えてくださっています。

12月初旬、コロナ禍で途絶えていたニコン様とのラオスへの視察を4年ぶりに実施することができました。視察には日本、ラオス、タイからそれぞれ社員代表の方が参加されました。また民際センターからも日本、ラオス事業所の職員が同行し、ご支援いただいている奨学生の在籍校のうち2校と、奨学生4名の家庭訪問を行いました。

サワンナケート県から見るメコン川(向こう岸はタイ)

 

1日目:カオカード中学校(サワンナケート県)

飲食店や商店が立ち並ぶサワンナケートの中心部から少し離れると、すぐに舗装道路は消え、地面が赤茶けた土に変わります。砂埃に包まれながら20分ほど車を走らせたのどかな農村地域に、カオカード中学校がありました。

写真①:生徒たちが花道を作って歓迎してくれました

到着すると大勢の生徒たちがマリーゴールドの首飾りを手に出迎えてくれ、花道を通って校舎内の式典会場へ向かいます(写真①)。式典は校長先生の挨拶から始まり、続いてラオスの伝統儀式である「バーシー(※)」が行われ、先生方、奨学生、保護者、そして地元の方々に盛大に歓迎していただきました(写真②③)。

※バーシーでは儀礼用の台(写真③左)の上にたくさんの飾りと供え物が用意されます。初めにこの台に皆で手を触れ、村の年配者が代表で祈りの言葉を唱えます。参加者たちから悪い霊を追い払い、健康や幸運、繁栄を祈願する意味があります。それから台に飾られた白い綿の糸を参加者同士で手首に結び、祈りをささげ合います。この儀式は、結婚や出産などのお祝い事や記念日、人生の節目などに行われ、ラオスの人々の生活に深く根付いています。

写真②:式典の様子

写真③:(左)バーシーの儀式用の台/(右)手首に糸を結んでもらう様子

生徒たちとの記念撮影後、先生方や県・郡の教育局の方々と昼食をとり、ニコン様、校長先生からそれぞれお言葉をいただいて、式典は無事終了しました(写真④)。

写真④:(左)生徒たちとの記念撮影/(右)教育局・先生方との昼食のひととき

教室の様子(生徒は昼休みのため一時帰宅中)

ダルニー奨学生の家庭訪問①

続いてカオカード中学校の先生方に案内され、3年生と1年生の女子生徒のお宅を訪問しました。各家庭の庭先で、生徒と保護者へそれぞれ通訳を交えてお話を伺いました(写真⑤)。子どもたちは学年が上がるほど家事に協力的で家族の面倒もよくみるため、特に3年生の生徒は友達と遊ぶ時間が少ないようでした。厳しい経済状況の中で、ダルニー奨学金はどちらの家庭でも家計の負担軽減に役立っており、通学を支えていることが保護者の方々のお話からわかります。突然大勢の視察者が訪れたため、初めは生徒たちが驚き緊張する場面も見られましたが、時折笑いも交えた和やかな訪問となりました。また、2軒目のお宅では住居内も見学させてもらい、現地の暮らしの一端を知ることができました(写真⑥⑦)。

写真⑤:(左)奨学生宅へ向かう村の道/(右)中3の奨学生との談笑の様子

写真⑥:(左)中1の奨学生へのインタビュー/(右)奨学生の家

写真⑦:(左)家屋内部/(右)台所の一部(炭で火をおこし炊飯するためのかまど)

奨学生の一人、ジンミー・ウンマニーさん(中3)と保護者。将来はIT関連の仕事に就くのが夢。

 

2日目:コンケーン中学校(サワンナケート県)

翌日の視察では、1日目よりもさらに田舎にあり、学校規模もより小さいコンケーン中学校を訪れました。1校目と同様に生徒たちからの歓迎を受け、校舎内で先生方と式典を行いました(写真⑧⑨)。先生方との昼食会が済むと、村の僧侶から感謝と歓迎の意を込めた祈祷をしていただけることになり、急遽、村の寺院へおじゃましました。村に今回の視察のような来客があることは大変珍しく、僧侶自ら特別にこのような待遇を申し出てくださったそうです(写真⑩)。

写真⑧:校庭でニコン様の到着を待つ生徒たち

写真⑨:(左)先生からの状況報告/(右)校庭での記念撮影

写真⑩:(左)村内の寺院/(右)寺院内部。参加者一人ひとりが、心からの歓迎を受けました

(左)村の木造家屋/(右)地下水をくみ上げる共有ポンプ(屋根付き)

 

ダルニー奨学生の家庭訪問②

2日目は、コンケーン中学校の女子生徒2名のお宅へ伺うことができました。保護者の方のお話から、どの生徒も本当に家の手伝いをよくしている様子が伝わってきます。家族構成にもよりますが、両親が外で仕事をしている間は炊飯、掃除などの家事全般を引き受ける生徒もいました。

国民の約8割が農業に従事していると言われるラオスですが、訪問した奨学生宅も農家で、田畑が自宅から数キロ離れた場所にあり、米や野菜を食べる分だけ育て、収穫して余った分を市場で売るという生活が一般的です。

また、奨学生たちは「IT関連の職に就きたい」「幼いころから憧れていた医者になりたい」など将来の夢も語ってくれました。どの家庭も経済状況は厳しく、このような境遇の生徒たちが将来希望の道に進めるよう、引き続きダルニー奨学金の支援が必要だと強く感じました。

(左)1人目の奨学生宅/(右)2人目の奨学生へのインタビュー

 

視察に参加して:ニコン様からのコメント

Y様「現地の状況を理解するために、奨学生やその家族と交流することは非常に重要だと考えています。数年ぶりに視察を実施し、笑顔で出迎えてくれた子どもたちを見て、ニコンがこの活動を続けることの意味を実感しました。そして、地域と連携し、丁寧な支援を提供してくださっている民際センターさんに感謝しております。」

A様「現地を視察し、家事全般を手伝いながらも、自分の夢に向かって努力している子どもたちの姿を見て、私ももっと頑張ろうと刺激を受けました。ニコンの活動が少しでも子どもたちの将来の夢を叶える支援につながっていくことを願っています。民際センターの皆様の継続的なサポートに感謝申し上げます。」

 

ラオスではここ数年の世界的な物価高騰や現地通貨(キープ)安のあおりを受け、国内の物価高はもちろん、就職難が続き、貧困家庭の子どもたちはこれまで以上に支援を必要としています。ニコン様からの継続的なご支援は、そのような子どもたちが通学を諦めないための大きな支えになっていることを痛感できた視察となりました。長年のご支援に、あらためて感謝申し上げます。

 

ダルニー奨学金について詳しくはこちらボタン

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