ラオスにおける自転車支援
昨年、ラオスサワナケート県にある学校を訪れたときのことです。
数十台の自転車が駐輪場に止めてありました。中高一貫校のため、全生徒数は600人を超えます。単純に考えると、全体の一割ほどしか自転車を持っていないという事。ラオス事務所の職員と学校の周りを事務所の車で訪れましたが、一番近い小さな集落まで村まで3km程度、その先の村は10kmを超えると聞きました。車の窓から子どもたちが歩いている姿が見え、ずいぶん遠くから通っている子どももいるようでその中の1人の子に聞くと朝5:30に家を出ると聞きました。授業は8:00から。まだ、晴れている日は良いでしょう。雨期には大量の雨が降ります。毎日の行きと帰りは、中高校生には決して簡単な通学ではではありません。ほどなくして自転車に乗る男の子に話を聞くことができました。彼は、自転車を寄付して頂いて本当に通学が楽になり、勉強をする時間ができたと話してくれました。私自身、子どもたちの話を聞き、こんな風に自転車が役に立つのだと思ったことはありません。ラオス事業所のカムヒアン所長は、舗装されていない道路を走行するため自転車は数年で傷んで使えなくなってしまうと言いました。民際センターの自転車プロジェクトには補修キットもついていますが、「耐久年数は4年が限度」だそうです。ラオスの郊外の村々を訪れるまでは信じられませんでしたが、車に乗っていても疲れるぐらいの道路事情の悪さ。子どもたちは、日本に住む私には想像できないぐらい大変な思いをして通学しています。
自転車を寄贈された女の子
自転車を寄贈された男の子
みんなで記念撮影
この学校を訪れる前から、自転車プロジェクトの担当をしていて、証書に写る子どもたちの幸せそうな顔を見ていました。その様子が本当にありがたい、嬉しいのだと実感した瞬間でした。民際センターの自転車プロジェクトでは、通学が困難なつまり学校から家の距離が遠い子を優先して自転車が寄贈されます。
(本支援は、カンボジアでも同様に行っています。)
【支援できる国】ラオス カンボジア
農村地域では、貧困で学校に通えなかったり、中途退学を余儀なくされる子どもたちが多くいます。
理由の一つである通学問題を少しでも解消するために、民際センターでは通学自転車支援プロジェクトを行っています。
みなさまからの温かいご支援をお待ちしております。下はご支援頂いた子どもたちの様子です。
子どもたちの通学の様子
おばあちゃんと一緒に
将来の夢はエンジニア?
ラオスの通学自転車支援プロジェクト
【プロジェクト概要】
■ 支援対象者:通学に往復で徒歩2時間以上かかる下記地域に住む貧しい中学生
■ 対象地域:カムアン県・サワンナケート県・サラワン県・セコーン県
■ 支援品:自転車(新品、男子は青、女子はピンク、ステッカー付)、修理道具、空気入れ、ウォーターボトル
■ 支援金額:18,000円
■ 生徒からのお礼状:現地からポストカードが届きます。
■ 奨学生への証書:支援者のお名前が記載されています。
▼通学の様子
▼自転車で通学している生徒へのインタビュー
レンカム・シサマイさん(16 歳/中学1年生/セコーン県)
学校から自宅までの往復距離:12Km
Q. 自転車通学をしてからどれくらいですか?
A. 今年から使用しています。昨年両親が自転車を買ってくれるお金がなかったので、小学校を卒業してから、一年間学校をやすまざるを得ませんでした。
一年間両親を手伝って、竹切りをして得るお金で買ってくれました。
Q. 自転車通学の良いところを教えてください。
A. 家から学校までかなり遠いので、自転車通学により、毎日通学ができます。
また、妹を乗せて学校まで先に送ることもできるので、凄く便利です。
Q. 歩いて通学するとどれくらい時間がかかりますか?
A. 1時間かかります。自転車だと30分で着きます。
Q. あなたの村の生徒たちがどうやって学校へ通っていますか?
A. 自転車やバイクをもっている生徒もいるので、持っていない人は、持っている人に乗せてもらったりしています。
Q. もし自転車がなかったら学校に通うことは難しいですか?
A. はい、難しいです。もし自転車がなければ、学校に通うことができないかもしれません。
【ラオス事務局長からの御礼】
農村地域での大部分の子どもたちにとって、自転車を持つことは、将来への希望を意味します。
私は、農村部事業出張時、学校に行く意欲があるものの、中等・高等教育を諦めてしまう多くの子どもたちを見ています。
その理由の一つに、学校までの通学距離の遠さがあります。
私の知っている12歳の女の子は、強い日差しの下、埃っぽい道や雨の日の泥だらけの道を歩き、自宅から遠く離れる学校へ徒歩で通っています。
このような状態での通学は大変でしょう。このような状況は、中途退学を生む原因の一つです。
自転車は単なる自転車ではなく、子供達の希望と教育機会の提供を意味し、貧困からの脱出につながるとても大切なものと言えます。
自転車を持つことで通学時間の短縮が可能となり、友達と共に過ごす時間が増えることにより、日々の生活においても楽しい時間を過ごすことが増えるでしょう。また、時間が増えることで、勉強への集中力も高まるでしょう。兄弟の世話や家族の手助けの時間も増えるため、親の収入増も期待できます。
このように自転車通学には、多くの利点がありますが、最大の利点は、子供が学校へ行くことを継続できるというものです。
ラオス事務所は、貧困により継続しての通学が難しい子供たちに、自転車のご支援をお願いさせていただき、教育の継続と学校に通うという子どもたちの夢を叶えていきたいと思っております。
カンボジアの通学自転車支援プロジェクト
【プロジェクト概要】
■ 支援対象者:通学に往復で徒歩2時間以上かかる下記農村地域に住む貧しい中学生
■ 対象地域:コンポンチュナン県・カンポット県・タケオ県
■ 支援品:自転車(新品、男子は青、女子はピンク、ステッカー付)、修理道具、空気入れ
■ 支援金額:18,000円
■ 生徒からのお礼状:現地からポストカードと支援生徒と寄贈自転車の写真が入った封筒が届きます。
■ 奨学生への証書:支援者のお名前と奨学生氏名他が記載されています。
▼通学の様子
▼自転車で通学している生徒へのインタビュー
K・Lさん(14 歳/中学1年生/カンポット県)
学校から自宅までの往復距離:13Km
Q. 自転車通学の良いところを教えてください
A. 自転車は私にとって重要です。自転車で通えるため、毎日学校に時間通りに行けます。
放課後は個人授業も受けることができます。
家からは6.5キロと遠いので、もし自転車がなかったら毎日学校に通うことはできないかもしれません。
Q. 自転車通学をしてからどれくらいですか?
A. この自転車はいとこのもので、長いこと使っています。私の家が学校から遠いので、いとこが自転車を貸してくれました。
Q. 歩いて通学するとどれくらい時間がかかりますか?
A. 往復で2.5時間~3時間近くかかります。
Q. あなたの村の生徒たちはどうやって学校へ通っていますか?
A. 私の村は学校から遠いため、生徒たちは自分の友達といっしょにバイクや自転車への相乗りで通っています。
Q. もし自転車がなかったら学校に通うことは難しいですか?
A. はい、難しいと思います。きっと毎日行くことはできないと思います。次第に学校へ行く気が起きなくなるかもしれません。
自転車がなかったら友達に乗せてもらうことになるので、もし友達が学校を休んだら、私も休まなければなりません。
【カンボジア事務局長からの御礼】
いつも温かいご支援をありがとうございます。
皆様のご支援により、これまで多くの子どもたちが奨学金支援により学校に通うことができました。この場を借りて御礼申し上げます。
おかげさまで、カンボジアの教育事情も以前に比べればよくなってまいりました。
小学校への純就学率は95%を超えるようになりました。反面、中学校への就学率は、まだまだ低いのが現状です。
また、せっかく中学に通えても中途退学してしまう子どもたちが20%いることは残念でなりません。
中途退学の理由は様々ありますが、その一つに通学の問題があります。その通学問題を少しでも解消するためのキーワードは「自転車」です。
自転車プロジェクトが実施されることにより、少なからず中途退学率の低下が期待できると思っておりますので、奨学金同様、皆様からのご支援をお願いいたします。
さて、ここからは、カンボジアの通学事情に触れさせていただきます。
農村部では50%から60%の中学校が、生徒の家から往復で10~20キロほど離れたところに建てられています。
このような状況の中、15%の生徒たちは自転車で通学しており、45%の使徒たちは歩いて通学をしています。
これら以外の通学手段には、荷台付有料バイクや、友人の自転車・バイクへの相乗りなどになります。
強い日差しの下、自宅から遠く離れた学校へ徒歩で通う生徒の中には、勉強に集中できない子や、通学を諦めてしまう子どもたちもいます。
貧困や通学距離の遠さは、教育を享受するには大きな障害となっています。
この状況は中学校への就学率を低下させ、高い中途退学率を招くことに繋がります。中学への就学率はおおよそ35%、中途退学率は20%にも及びます。
貧しい農村地域に住む子どもたちにとって、自転車は重要な通学手段になります。
自転車を保有することで通学への利便性が高くなることは、就学率を上げ中途退学率の低下を可能にする力を秘めています。
少しでも多くの子どもたちが中学校に通えるためにも、改めまして自転車プロジェクトへの温かいご支援をお願いさせていただくとともに、これまでのご支援に感謝申し上げます。