ミャンマーの学校の状況と子どもたち
ミャンマーの学校教育制度は、初等教育と中等教育からなっています。初等教育機関には、小学校5年間、中等教育は、中学校4年間、高等学校2年間および各種職業学校があり、高等教育機関には、短期大学、大学があります。各学校はすべて政府の統括下にあり、教育方針や教育課程などは教育省が管轄しています。中学校までは義務教育ではあるものの、小学校への就学率は96.56%ではありますが、中学校への就学率は男子が48%、女子が49%といわれています。(世界子供白書2016より)
民際センターでは、ミャンマーのチャウンタン地区(Kyauktan)のティワラ(Thilawa)村とチャンタピン(Htantapin)地区のチャンタピン村の各中学校の奨学金サポートを実施しています。
2013年から奨学金を提供し始め、現在では、延べ約2,000名の中学生を支援してきました。
これらの地域の中学校は、2種類に分けられ、午前9時から3時半まで1日中授業をする中学校と、朝7時から12時まで、12時から夕刻5時までの2部制に分けて事業をする中学校があります。
国の公務員である先生の人数も中学校になると生徒の割合に対して決して十分ではなく、先生の給与も決して高額とはいえない現状があります。
これらの民際センターのサポートする地域においても、貧困の度合いによっては、中学校に行けない、もしくは途中でドロップアウトしてしまう子どもたちもいますし、中学就学においても、1部制の学校は午後3時半から5時まで、2部制の学校は、午前午後の空いている時間に、塾としての授業を受けないと思うように進学が出来ないという現実があります。
この塾では、学校の同じ先生が教えていて、中学生は毎月10,000チャット(約1,000円程度)を先生に支払い、就学の生徒のほとんどがこれに参加しています。この授業料が、先生の生活の支えの一つになっています。
当然ながら、この塾の授業料が払えない子どもたちはドロップアウトしていかざるを得ない現実が依然として存在しています。
ミャンマーはここ2~3年の間、軍事政権と民主化のパワーバランスや、少数民族の問題など、決して安定しているとはいいがたい状況にありますが、民際センターは、その国の政治的な動きに係らず、民と民のつながりにより教育支援を一貫して実施していく所存です。
今回は、チャウンタン地区(Kyauktan)のティワラ(Thilawa)村で奨学金のご支援を頂いている2人の子どもたちのご紹介をさせて頂きます。
イン・ジン・メイさん 中学4年生 14歳
イン・ジン・メイさんは、現在おばあちゃんと叔母さん、そして兄、妹の3人兄弟で暮らしています。
両親は離婚しており一緒に生活はしていません。生活は非常に苦しく全員が助け合いながら暮らしています。
そんな中でも、イン・ジン・メイさんはとても勉強が出来ると先生も言っていて、学校から成績優秀賞の盾やトロフィーを貰うほどです。
今年無事中学を卒業出来る予定で、高校への進学も、先生の努力もあり、何とか実現できるとの事です。将来は、医者になり、他の人たちを沢山助けたいとの夢を持っています。
もし、中学4年間、奨学金が貰えなかったら、勉強に専念することも出来ずきっと夢を持つことも出来なかった。 是非とも、日本の支援者の方、そしてEDF-ミャンマーの活動にお礼が言いたいとの事でした。
おばあちゃんと中学校の先生と
学業優秀の盾とトロフィー
ネ・ヌヌ・トエさん 中学3年生 14歳
ネ・ヌヌ・トエさんは、5人兄弟の4番目で、兄3名と妹1名がいます。兄3人は、働くために、すでに家を出ていています。両親は健在ですが、いずれも朝早くから夜遅くまで、農園や市場で働いていて、日中は家にいることはなく、ネ・ヌヌ・トエさんと妹は、おばあちゃんに面倒をみてもらっています。 奨学金のおかげで、制服、教科書やノートなどをそろえることができ、また塾に通うことが出来て、とても感謝しているとの事です。特に英語が大好きで、少しではありますが、英語での自己紹介などもしてくれました。日本からの奨学金の支援を受けていることもあり、日本語も勉強したいそうです。高校までは歩いて30分以上はかかりますが、何としても高校に行きたい、そして将来はお医者さんになりたいと言っています。先生も出来るだけ、ネ・ヌヌ・トエさんをサポートしていきたいと考えているそうです。
ネ・ヌヌ・トエさん
ネ・ヌヌ・トエさんの家