ご寄付いただいた寮の前に立つ女子生徒たち
カンボジアでは家から中学校や高校への距離が大変遠く、「通学が難しい」という理由で進学を断念したり、退学を余儀なくされる生徒が多くいます。2023年の統計によると、カンボジア全体では小学校7,338校、中学校1,248校に対して、高校は571校しかありません。* 上級の学校になるにつれて学校数が少なくなる上に、地方では公共交通機関も整っていません。学校が川の対岸にある場合には、有料の渡し舟に乗って通学しなければならないこともあり、経済的に恵まれない生徒の通学はさらに難しくなります。
カンボジアにも学生寮はあります。しかし、いくつかあるものは⼟地所有者の許可を得て生徒たちが建てた掘っ⽴て小屋です。そのような寮でも電気代を払えない生徒は、乾電池式ランプを使用するか、持っていない場合は灯をとることもできません。
男子生徒は、近くにあるお寺に住まわせてもらいそこから通学することもできますが、女人禁制のお寺には、女子生徒は入ることはできません。そのような状況でも、学校に通いたい、勉強を続けたいと、学校の近くに掘っ立て小屋を作って暮らす女子生徒もいます。そこは、施錠ができず、雨風をふせぐこともできません。さらに、経済的な余裕もないため朝食をとらず、食事は昼と夜の2回のみ。持参コンロを持ち出して外で料理し、夜は昼の残り物を食べます。ある寮では、トイレもシャワー兼用の1つだけ。それを約60人の生徒が使用していて、乾季には水が無くなってしまうこともあります。また、カンボジアの夜の⼀人歩きは危険なので、遠く離れている場所にトイレが設置されている寮では、夜間にそこを使わないこともあります。
* Public Education Statistics and Indicators 2022-2023
生徒たちが建てた小屋
部屋の中
離れた場所にあるトイレ
カンボジア女子寮建設プロジェクト
ご支援いただいた女子寮
キッチン
トイレ
【女子寮が建つまで】
①調査と建築場所の選定
ご寄付のお話をいただきましたら、民際センター・カンボジア事業所にて、一番女子寮を必要としている学校調査・選定します。その際、村人たちや、学校から家が遠い生徒たちの聞き取りを行います。その結果、候補地が決定し、見積もりと提案書をお出しします。(1~2か月程度)
候補地
村での説明
生徒たちへの聞き取り
②建設
土地の整備、鉄筋組立、内装・外装工事を経て完成します。(5~6か月)
ご希望者は竣工式にお越しいただけます。(諸費用はご支援者様負担)
土地の整備
支柱組立1
支柱組立2
外装工事
内装工事
完成
室内
キッチンとトイレ
貯水槽
③報告書の提出(1~2か月)
建設の様子、寮で暮らす生徒たちの様子をお知らせします。
寮に住む女子生徒たち
ネームプレート
学校からの感謝状
◆カンボジア女子寮のチラシはこちらからダウンロードしてください。
【建設費用】
■ 建物のみ:348万円 *為替の変動により価格が変動することがあります(2023.9.29)
■ 建物(トイレとキッチンつき):416万円 *為替の変動により価格が変動することがあります(2023.9.29)
(*金額は、おおよその目安です。お話をいただいたときに建設地や必要資材を基にお見積もりを取りますので多少変わることもあります。)
【女子寮の寄付を受けた生徒や学校の先生の声】
女子生徒から
この度は、私たちの通う高等学校の敷地内に女子寮をご寄付いただきまして誠にありがとうございました。この寮に住む多くの生徒は学校から家までがとても遠い上に、通学路の治安も悪く、公共の交通機関がないため学校に通い続けることが難しかったのです。近くに部屋を借りると家賃を払わなくてはならないし、それらの住まいは必ずしも安全ではないため、多くの生徒が高校で勉強を続けることを諦めていました。でも、今は女子寮をご寄付いただいて安心して勉強ができるのでとても幸せです。通学に必要な費用や危険な通学路のことをもう心配しなくて良いなんて、こんなに幸せなことはありません。支援者様に心より御礼申し上げます。
学校の先生から
本校敷地内に女子寮をご寄付いただきまして、学校職員生徒一同心より感謝申し上げます。本校には、学校に通うことが難しく、中途退学を余儀なくされていた生徒が多くいましたが、寮のおかげで皆、安心して勉強でき退学率も減ると思うと、これほど嬉しいことはありません。このご寄付は、就学がかなった生徒たちの将来を明るく照らすだけでなく、カンボジアの国の発展に大きく寄与することでしょう。改めまして、ご寄付いただきまました方に心より御礼申し上げるともに、末永い幸せとご健勝お祈りいたします。
【支援者の声】
ご支援いただいた方からは、次のような感謝のお言葉をいただいています。
・丁寧な見積もりや報告書をいただき、自分の寄付が女子生徒の就学を応援していることがわかり嬉しかった。
・本来であれば進学をあきらめざるをえなかった女子生徒が、中学校に通い「将来は、学校の先生になりたい」と夢を話してくれたことが印象的でした。
・竣工後に寮を訪れました。女子寮に住む生徒たち、学校の先生や村の方々にまるで身内が来たかのように歓待されました。自分の寄付がこのような形で活かされていると思うと嬉しくて涙が出てきました。
【よくあるご質問】
Q:定員は何人ですか?。
定員は20名ですが、同じタイプの寮では、実際は25~30人前後で生活しているケースが多いようです。
Q:部屋数を教えてください。
1つです。平均的な女子寮の間取りは下記のようなイメージです(キッチン・トイレ付きの例)。
Q:寮費はどのようになるのでしょうか?
居住費は一切かかりません。他に経費として、生徒各々がお米と生活費(月平均12.5ドル)を実家からもらっています。食事は自炊しますが、貧しいため質素になりがちです。寮の前に畑を作って野菜を育てるケースや、村人が食物を寄付してくれるケースもあります。電気代は居住する生徒たちが折半しますが、寮にソーラーバッテリーを設置できる場合は電気代がかかりません。水に関しては、近くに井戸がある場合はそこから使用し、また寮内に設置された雨水を貯める貯水槽からも使用することができます。掃除は入居者が当番制で行います。
Q:入居する生徒はどのように選びますか?
学校の先生と地域の教育委員会のメンバーが、生徒の通学距離、勉強に対する意欲、家庭の経済状況等総合的に判断し、決定します。貧困家庭には自治体から貧困証明書が発行されており、それを持つ家庭の生徒が入寮対象となっています。
【ご支援いただいたカンボジア女子寮】
民際センターは、ご支援により現在まで下記地域に女子寮を建設しました。まだ、寮を必要としている生徒がたくさんいます。
タックホー中学校
カンポンチュナン州ロリアビア郡(①)
2015年5月
フンセンカンポンレーン高校
カンポンチュナン州カンポンレーン郡(①)
2015年7月
フンセントラセコン高校
カンポット州トクチョウ郡(②)
2016年5月
フンセンコーアデット高校
タケオ州コーアンデット郡(③)
2016年8月
サンダックアブメパセデス高校
コンポンスプー州パセデス郡(④)
2017年12月
プレバットノロドム高校
プレイベン州カンチリーチ郡(⑤)
2017年9月
フンセンカンポンロ高校
スヴァイリエン州カンポンロ郡(⑥)
2017年8月
フンセンプレポン高校
プレイベン州カンポットラベック郡(⑤)
2017年11月
フンセンチレイツム高校
スヴァイリエン州ロメスヘック郡(⑥)
2018年1月
バベ中高等学校
スヴァイリエン州バベ郡(⑥)
2018年5月
プレシソラマット中学高等学校
カンポンチュナン州ロリエビエ郡(①)
2018年7月
カオスクララ中学校
バタンバン州カオスクララ郡(⑦)
2018年7月
スライアング中学校
プレアヴィヒア州クレアン郡(⑧)
2019年1月
カンポンスララオ中学校
プレアヴィヒア州チェブ郡(⑧)
2019年1月
サンクムツメイ高等学校
プレアヴィヒア州サンクムツメイ郡(⑧)
2019年7月
カラヤ高等学校
コンポントム州ブラサットバラン郡(⑨)
2019年8月
サンダン高等学校
クラチェ州サンバー郡(⑩)
2019年9月
プレアカーン中学校
プレアヴィヒア州サンクムツメイ郡(⑧)
2019年10月
コークンヘ中学校
クラチェ州サンバー郡(⑩)
2020年9月
クバルトラーチ中学校
クラチェ州スノール郡(⑩)
2020年10月
フンセンスノール高等学校
クラチェ州スノール郡(⑩)
2020年11月
フンセンカントウト中・高等学校
クラチェ州チェットボレイ郡(⑩)
2021年1月
フンセンソペァクボレア中・高等学校
クラチェ州サンバー郡(⑩)
2021年11月
オウレアン高等学校
モンドルキリ州オウレアン郡(⑪)
2022年4月
フンセンケオセイマ高等学校
モンドルキリ州ケオセイマ郡(⑪)
2022年6月
クロノーン・センチェイ中学校
クラチェ州スノール郡(⑩)
2022年8月
フンセン・トゥベン中・高等学校
コンポントム州コンポンスヴァイ郡(⑨)
2022年10月
ラクサ中・高等学校
プレアヴィヒア州ロヴィエン郡(⑧)
2022年12月
クレン高等学校
プレアヴィヒア州クレン郡(⑧)
2023年3月
カンポンスララオ高等学校
プレアヴィヒア州チェブ郡(⑧)
2024年3月
サクラム中学校
コンポントム州プラサットバラン郡(⑨)
2024年3月
プノンスローチ高等学校
コンポンスプー州プノンスローチ郡(④)
2024年11月