ミャンマー 浄水プロジェクト

 

目次

 

目的とその背景

民際センターではこれまでの奨学金事業に加えて、2022年にミャンマーで初めてプロジェクトの立ち上げを行いました。それは、現地のニーズを理解するミャンマー事業所職員からの強い希望を受けたことがきっかけでした。ミャンマーでは学校に給水設備はあるものの、そこにある水は地下水を汲み上げた井戸水や、貯水槽や壺に溜めた雨水など、子どもたちが安全に飲める水ではありません。ミャンマーの学校では、これらの未処理の水を一晩以上置いてごみを沈殿させ、比較的きれいに見える上澄みを生活水として活用しています。また水分補給のために子どもたちが自身で飲料水を購入している学校もあります。このプロジェクトはそのような未処理水をろ過する浄水器をミャンマーの学校に寄贈し、子どもたちの学びの場に安全な水が飲める環境を提供することを目的としています。さらに、俯瞰的には本プロジェクトの実施が子どもたちの水と衛生にまつわる意識を高めるきっかけとなり、将来的にミャンマーの貧困問題を断ち切る手助けとなることを目指しています。

 

 

子どもたちや学校関係者が井戸水や雨水(乾季は川から引いて貯めた水など)を飲むと、微生物や細菌が体内に入り、時に感染症や下痢を引き起こす原因となります。ミャンマーの雨季は高温多湿で、もし水が汚染されると細菌やウイルスへの感染の可能性が高まります(例:サルモネラ、腸チフス、腸炎ビブリオ、大腸菌細菌性赤痢、コレラなど)。(参考:厚生省 検疫所 地域別情報)

日本やアメリカでは学校の給水所で水を飲んでも安全に処理されているので気軽に水分補給することができますが、時としてミャンマーでは同じ行為が生死にかかわる要因となります。※グラフ「ミャンマー 水と衛生に関わる指標」参照

出典:UNICEF 世界子供白書2021 表14 WASH(水と衛生)指標 より。(左)基礎的な飲料水サービス…改良された水源からの飲料水が利用できる学校の割合。(中央基礎的な衛生設備サービス…性別ごとに利用可能な、改良された衛生設備が利用できる学校の割合。(右)基礎的な衛生習慣設備がある人の割合…敷地内に水および石鹸がある手洗い設備が利用できる人の割合。

 

グラフ「ミャンマーで処理された水を利用する人口の割合」からは、都市部・農村部ともに水を利用前に処理している割合が低く、水の利用については多くの改善がこれからも必要であることがわかります。2000年のミャンマーの5歳未満児死亡率は1,000人あたり89人で、日本の5人に比べると約18倍です(出典:世界子供白書2021)。5歳未満児が死亡する原因の一つに下痢があり、学校以外にもミャンマー全体で水の衛生について人々の意識・知識が向上することが求められていることが伺えます。

とりわけ、毎日通う学校の環境が良くなれば子どもたちは健康な体で勉強を続けることができます。民際センターがミャンマー事業所と協力し現地の学校に浄水設備を設置することで、子どもたちや学校関係者がいつでも安全な水へアクセスすることができます。このプロジェクトは浄水器を贈ることで、ミャンマーの子どもたちが学校で健やかに学び続けられように支援するものです。

出典:UNICEF Myanmar Multiple Indicator Cluster Survey 2009-2010, Environment – Water Treatmentより

 

水とトイレに対する国際社会の取り組みは、SDGsの前進であるミレニアム開発目標 (Millennium Development Goals、略してMDGs)で安全な飲料水と基本的な衛生施設に持続的にアクセスできない人の割合を1990年から2015年までに半減させるという目標の下、進められてきました。2000年から15年間MDGsに取り組んだ結果、まだ学校に通えない子どもや、衛生状況から病気になってしまう子どもがいるなど、多くの課題が未解決のまま残っていました。

現在MDGsは持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals、略してSDGs)に継承され、2030年までに、誰もが安全な水の普遍的なアクセスを達成すること、淡水の持続可能な供給を確保し水不足に対処すること、そして水不足に悩む人々の数を大幅に減少させることに取り組むことを推進しています。その目標こそが、SDGs17の目標のうち6番目「安全な水とトイレを世界中に」です。開発途上国の、特にへき地の学校には給水設備やトイレが設置されていないことが多いため、この目標を達成することで水と衛生問題にさらされている子どもたちや先生の健康面の向上を狙いとしています。本プロジェクトを通して、一緒にSDGsの目標の一つ「安全な水とトイレを世界中に」を達成しましょう!

 

 

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プロジェクトの概要

学校に設置されている給水設備(貯水タンク、壺、井戸など設置する学校により異なります)を利用し、浄水装置を取り付けることで雨水や井戸水を飲料可能なレベルまで引き上げます。生徒や学校関係者が安全な水を飲めるようになることで、子どもたちが健康な状態で授業に取り組める環境を作り、学習環境・健康改善という側面からミャンマーの教育支援を推進します。

 

  • 実施地域について

支援できる国:ミャンマー

民際センターが支援している地域学校(チャウンタン地区のティワラ村とチャンタピン地区のチャンタピン村、タンリン地区の各中学校)が対象です。

 

  • 浄水システムの仕組み

雨水や地下水をメンテナンス可能なフィルター(浄水器)に通し、ろ過を行います。

 

  • 引き渡し後について

学校の環境と周辺の水質に最も適した浄水装置を現地で選定するため、装置ごとに取り扱い方に違いはあるものの、ミャンマー事業所スタッフが現地の学校関係者やコミュニティに責任をもってメンテナンス方法を指導します。寄贈した機器を自分たちでメンテナンスし使い続けていくことで地元の人々の自立を促すことも民際センターの目標の一つです。

 

 

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費用

497,000円

*物価の高騰に伴い価格が変更になっております(2023.10.02より)。物価の変動や為替変動により、金額が変更となる可能性がございます。  

 

 

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スケジュール

(1) EDFミャンマー事業所で調査の上寄贈先学校を選定します。また学校周辺の状況から寄贈する浄水器のタイプを選定します(お申込みから約3ヵ月ほどかかります)

(2)ご支援者様にご提案書をお届けします

(3) 設置工事を実施(工期:1週間程度)

(4) 引き渡し式を開催(その後使用開始)

(5) プロジェクト完了後、最終報告書をご提出いたします(お申込みから完了まで6~7ヵ月を見込んでおります)

*現地でのオペレーションや天候等により、1~2ヵ月工程が遅れる場合があります。ご了承くださいませ。

 

 

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ご支援者様へお届けするもの

● 進捗をメールでご報告いたします。

● ご支援者様のお名前をネームプレートにして浄水設備に掲げます。(匿名も可能)

● 完成後、写真の入った現地からの報告書を郵送させていただきます。

● 使用開始後、先生や生徒からのビデオレターをメールでお届け、またはお手紙を郵送いたします。

 

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ミャンマー事業所からのメッセージ

蛇口をひねったらきれいな水が飲める。日本ではそんな当たり前なことがミャンマーではそうではありません。

農村部ではきれいな飲み水はおろか、生活用水もままならない地域がまだまだたくさんあります。一般家庭では溜めた水を沸かして飲んだり、飲料水を購入して飲んだりしていますが、生徒数が600人以上いる学校では飲料水代がかさみ、生徒の親や先生の経済的負担が大きくなっています。

また体感温度が50度近くになる乾季には雨が全く降らず、雨水を再利用した生活水が足りなくなることもあります。学校できれいな水がいつでも飲めるという環境を作ることで、生徒たちは健康に学校生活を送ることができ、子どもたちはさらに勉強に励むことができるでしょう。ミャンマーの未来を築く子どもたちのため、皆様の温かなご支援をお待ちしております。

―EDFミャンマー事業所 専務理事 ジン・ゾーゾー・マウンより

 

 

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最後に

2021年の軍部クーデターにより情勢が一時不安定になったミャンマーですが、人々は日に日に生活を取り戻しています。コロナによるパンデミックの中では学校がほぼ1年間休校となったり、教師不足のため時に生徒600人に対し先生が7人しかいない時もありました。こういった状況は日本に住む私たちには想像しがたいものがあります。また経済面では、パンデミック前にミャンマーに進出していた海外企業が一時期大多数の駐在員を引き上げたことによる市場の減速がありました。2023年に入り海外とミャンマーの人の行き来は戻りつつありますが、回復にはまだ時間がかかることが予想されます。加えて、現在進行中の世界的な物価の高騰は貧しい家庭を含め、ミャンマーの市民に大きな影響をもたらしていることも忘れてはいけません。

このような目まぐるしい変化の中でも、ミャンマーの子どもたちはめげずに少しずつ学校に戻りつつあります。日本からの寄贈によりきれいな水が出る給水所が学校にできれば、彼ら・彼女らの小さな顔に笑顔をもたらすのではないかと思います。大切な居場所である学校が子どもたちにとってより安心して過ごせる場になるよう、皆様からのご協力をお待ちしております。

 

本プロジェクトは現在クラウドファンディングを通じてお申込みを承っており ます。

全額寄付をご希望の方は、お問合せよりお申し付けください。

※クラウドファンディングの場合 全額寄付に比べて一部スケジュールに変更点がございます。詳しくはクラウドファンディングのページにてご確認ください。

 

是非、皆様のご支援をお願い致します。

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