カンボジアの水についてのイメージは?と聞かれたとき、どんなことを思い浮かべるでしょうか。
カンボジアといえばメコン川が流れ、東南アジア最大の湖・トンレサップ湖を有する豊かな水資源を持つ国、というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかしその実、安全な水やトイレを使うことのできる学校はごくわずかという現状があります。
教育省の統計によると、国内9454の学校(幼稚園、小学校、中学校、高校合計)で水道設備が整っていません。
乾季になると、生徒が自分たちで用水路や池、湖、川などへ水を汲みに行かなくてはならず、その水も決して清潔とは言えません。給水設備の不足が、生徒や教師の健康にも大きく被害を与えています。
民際センターでは、生徒たちのために最低限、手洗いやトイレで使うことができる水道設備を整え、水を安定的に供給することで、そのことに不安を覚えることなく教育が受けられるように、ウォータープロジェクトを開始しました。
安全な水とトイレを世界中に
水とトイレに対する国際社会の取り組みは、ミレニアム開発目標 (Millennium Development Goals : MDGs)で安全な飲料水と基本的な衛生施設に持続的にアクセスできない人の割合を1990年から2015年までに半減させるという目標が定められていました。
MDGsを継承した持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals : SDGs)では、2030年までに、誰もが安全な水の普遍的なアクセスを達成し、淡水の自得可能な供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させることついても検討され、その目標は17の目標の6番目「安全な水とトイレを世界中に」となっています。発展途上国の特に地方の学校には水道設備やトイレが設置されていないことも多く、この目標は、そこで勉強する生徒や先生方の健康にも目を向けています。
民際センターではトイレ建設プロジェクトも実施しています
Ⅰ.初めに
カンボジア政府は、2003年に地方における水道整備、トイレ、衛生に関する政策を立案しました。
この政策は、2025年までにカンボジアの地方に暮らす人々が安心して使うことができる、水の供給、トイレ等の衛生環境を整備することを目的としています。
カンボジアの教育青少年スポーツ省は、生徒や教師たちが水道とトイレ等が整っている環境の下で学校生活が送れるように「学校における水道・トイレ・衛生に関するガイドライン」を作成しました。しかしながら、カンボジアの地方では、衛生的に利用できる水道設備が整っている学校はほとんどありません。不衛生な水の利用が原因となり生徒や先生が、下痢や細菌性呼吸器疾患を患うという大きな問題があり、これらを減少させるために省は水道の整備に取り組んでいます。国もこの不衛生な水道設備により引き起こされる問題を栄養失調と同じように解決すべき重大課題としてとらえています。
Ⅱ.本プロジェクトの背景
カンボジアの教育環境は、ポル・ポト政権が崩壊した1979年に国際機関や団体の支援を受けて復旧が始まり、1993年の代第一回制憲議会選挙が行われることには多くの学校が再建され、教材も使えるようになりました。
校舎も再建され、学用品は使えるようになったのですが、上下水道施設やトイレは不足したままです。決して衛生的とは言えない環境の中では生徒たちの健康に大きく被害を与えます。
以下の2019年度教育統計によると、水道施設のない学校は9,454にのぼり、そのほとんどが地方の学校となります。
・学校の状況
・学校による就学生徒数の違い
※表はいずれもトイレ建設プロジェクトと同様
民際センターは、水道設備建設をウォータープロジェクトとして実施します。これが実現すれば、地方の学校でも生徒たちが安心して水を使用でき、彼らの健康が保証されるからです。
Ⅲ.プロジェクトの概要
①プロジェクトの目的
このプロジェクトの目的は、衛生的な水を確保することで生徒や教師が安心して水を使えるようにするものです。給水方法は地下水の有無などにより地域ごとに下記が想定されます。
A:井戸
地下水源を持つ学校で採用できる方法となります。
B:雨水の貯水タンク
地下水源を持たず、学校に大きなタンクを設置できる学校で採用できる方法となります。
C:雨水の貯水池
地下水源もなく、貯水タンクを置くこともできない学校で採用できる方法となります。
このいずれかの方法は、皆様からのご寄付があった際にEDFカンボジア事務所が最も設備を必要としている学校を調査し、その学校に適したものを採用致します。
②プロジェクト実施後のあるべき姿・目標
このプロジェクトの目標、地方の学校において安定した給水を確保し、衛生環境を改善することで生徒や教師の健康を向上すること、また衛生的な水へのアクセスを普遍化することで、安心して学校へ通えるようにすることです。
また、一つでも事例を達成したのちは他の学校や地域におけるロールモデルとなることを目標としています。
③短期的な目標
(1)学校への安定した給水を確保する
(2)十分な水の確保によりトイレ等の衛生環境を改善する
(3)水質の保持により学校環境を改善する
④長期的な目的
(1)学校への永続した給水を確保する
(2)衛生環境の改善により生徒と教師の健康状態を改善する
(3)十分な水の確保により園芸・菜園等の技術を促進する
(4)水問題について学ぶ機会を提供する
Ⅳ.期待できる効果
このプロジェクトは生徒たちの健康維持、学校の衛生や環境に大きな効果を発揮します。衛生的な水を供給することが地方の生徒たちは公衆衛生について考える機会にもなります。そして、その生徒たちが家族やその地域の人たちに衛生や環境への効果を伝え、地域全体を啓もうすることができます。
①プロジェクトの重要性
このプロジェクトは、教育青少年スポーツ省が作成した「学校における水道・トイレ・衛生に関するガイドライン」に基づき、学校における水道設備、手洗い、環境における安全を高めます。
②プロジェクトの影響
このプロジェクトは、学校の生徒と教員のみならず、地域の人たち、他の学校の関係者にも公衆衛生について学ぶ機会を与えます。
Ⅴ.水道設備が設置されるまで
1.お問い合わせをいただきましたら、⺠際センターカンボジア事務所にて、その時点で⼀番水道設備を必要としている学校を調査・選定し(1〜2か⽉程度)、⾒積もりと提案書をお届けします。
2.天候によりますが、設置には3〜4か⽉かかります。
3.完成後、報告書をご提出いたします。
Ⅶ.ご寄付額
※ご紹介したいずれの方法も同額での設置が可能となります。