▼ 【タイの奨学生】
▼ 【タイへの支援】
タイってどんな国
経済の安定や外国企業の積極的な進出を背景にした1980年代以降の高度経済成長はすさまじく、1985年から1995年にかけての10年間、タイは年間平均9%の経済成長率を記録しました。アジア通貨危機(1997年)によって経済は一時停滞しましたが、1999年以降、経済成長率は再び4%台を記録、2003年には6%台を記録し、タイは再び好景気に逆転しました。この好景気を背景に中流階級が一気に拡大します。クーデターによるあおりを受けた2008年の経済成長率は2.5%とやや伸び悩み、2009年はリーマンショックもあり-2.3%とマイナス成長も2010年は7.8%と再び高成長。その後も年ごとに経済成長にばらつきがあるものの、80年代後半から90年代前半に見られたようなすさまじい経済成長からはやや落ち着いています。タイ統計局の家計調査(2015)によると、1世帯当たりの平均所得は月2万6,915バーツ。バンコク首都圏の平均世帯所得は月4万1,002バーツであり、民際センターの支援地域であるタイ東北部の平均世帯所得は月2万1,094バーツ。全国平均の1人当りの平均所得は月9,212バーツとなっています。また、教育に力を入れた結果、1980年代以降は、教育レベルの向上と賃金の安さ、そして中流階級の増大による国内市場の拡大に着目した日本や欧米諸国の企業の工場の進出が目立っており、併せて関税特典があるASEAN諸国内への輸出拠点として活用されています。
【基本情報】
面積:51.4万平方キロメートル(日本の約1.4倍)
人口:6,617万人
一人当たりのGDP:7,217米ドル
(出典 外務省)
【支援地域情報】
急速な発展から取り残されているタイ東北地方であるイサーン地方を中心に支援を行っています。
【二つのタイ】
約100年前から、外国の企業を受け入れ始めたタイは、工業化に伴い社会構造が二分化していきました。工業化の中心となったバンコクとその周辺で、急速に発展する経済型社会層と、従来から作物を育てて収入源としてきた農村地区における農村型社会層との間で、その差は大きく広がり続けています。タイの総人口約6,900万人中、経済型社会で暮らす層はバンコクの人口約550万人を含む約2,300万人程度ですので、タイ人の人口の約三分の二は農村型社会で暮らす人々になります。
日本の人々が目にするタイの情報のほとんどが経済型社会のものであり、その情報だけでタイ全体を知る、ということにはなりません。タイ全体を知るなら経済型社会層のタイ人を知るだけでは不十分であり、GDPや経済成長率などの指標だけでは理解しきれるものではありません。経済が成長しつつあるものの、タイ全土にその波は広がらず、地方ではいまだに苦しい生活を強いられている多くの人々がいるのが現実です。特にタイ東北地方と都市部との格差は大きく、北部や東北部から首都や首都周辺部の工業地帯、あるいは海外に出稼ぎ に出る労働者は多く、スラムの数は全国で約2,000にものぼると言われています。
教育に関しても、タイでは経済の急成長を背景に、大学をはじめとする高等教育への進学率が高まっています。ユネスコの統計(2019)によると、大学進学率は49.3%となっています。しかし、この動向が見られるのは都市部での話。タイの学校は国立学校・私立学校であるため、地方自治体が設置した学校はありません。(ただし、バンコク都は学校を設置)。そのため農村部では、そもそも学校の数が少ないことや、設備が十分でないことが課題としてあげられています。まだまだ、十分な教育を受けることができない農村部の農村型社会層の子どもは多く存在してます。
NHK アジア総局長 松尾恵輔記者(令和2年からアジア総局でタイやラオスの取材を担当)が NHK WEB 特集「コロナのせいで、進学できない ~約4万人が教育から脱落か~」でタイの現状と事態の切実さを取材し記事にされています。
NHK WEB 特集「コロナのせいで、進学できない ~約4万人が教育から脱落か~」
タイの教育事情
【現地の教育の概要と特徴】
学校制度 | 6・3・3・4制 |
義務教育期間 | 原則として満6歳から満15歳までの9年間が義務教育とされている。 初等学校:満6歳から満11歳まで 前期中等学校:満12歳から満15歳まで |
学校年度 | 5月16日から翌年3月15日まで |
学校年度 | 【2学期制】 前期:5月16日から10月10日まで 後期:11月1日から翌年3月15日まで ※大学附属の学校については、当該大学の定めるところによる。 |
教育概要・特色 | タイの教育制度は、日本と同様、原則として就学前教育(幼稚園)、6年間の初等教育(小学校)、3年間の前期中等教育(中学校)、3年間の後期中等教育(高等学校)、4年間の高等教育(大学)となっている。 タイには地方自治体が設置した公立学校はなく、学校は原則として国立学校または私立学校である(ただし、バンコク都は学校を設置している)。 なお、ユネスコの推計では、2018年のタイの青年識字率(15~24歳)は98.1%である。 |
【現地の学校段階別教育の概況】
義務教育 | タイ国民は、法律の規定により、その子女に基礎教育を受けさせる義務を負うこととされている。義務教育は日本同様に、6~15歳までの9年間。小学校の修了率は男女ともに98%だが、中学校になると男子76%、女子88%、高等学校に至っては、男子49%、女子55%と半数程度であるのが現状。 |
義務教育の学校段階種類および修了状況 | 小学校(初等教育):6~11歳(第1~第6学年)、修了率 男子98%、女子98% 中学校(前期中等教育):12~15歳(第1~第3学年)、修了率 男子76%、女子88% |
カリキュラム・教授言語 | 教授言語:タイ語 |
義務教育段階の学費 | 【授業料】国立学校:授業料は無償。 ただし、教科書・教材費・給食費、その他必要経費が徴収されることがある。 |
スクールインフォメーション | 学校訪問:年に2回程度、授業参観の機会がある。 |
(出典:ユニセフ子供白書2019)
▼ 政府の補助金が不十分で、教育費に対する親の負担は小さくない
EDF-Thai(タイ事業所の紹介)
EDF-Thaiは、日本の公益財団法人 「民際センター」が、その前身である「日本民際交流センター」を設立した1987年に同時に、そのタイ事務局となる「地域開発教育基金(EDF)」として設立されました。
日本からの奨学金をタイ東北地方の貧困により就学が困難な子どもたちに奨学金を届けることができるように、早くから、生徒データベース(Student DB)を構築し、ダルニー奨学金担当教師(Guidance Teacher)の育成を行ってまいりました。
1994年より、タイ人及び、在タイ外国人、特に在タイ日本人を対象に募金活動を開始し、タイの子どもたちのための奨学金制度を確立しております。
日本からの支援と、タイ国内での支援の双方を、奨学金担当教師(Guidance Teacher)と共に、適切な形で効果的・効率的にタイの子どもたちへ教育支援として実施しています。
ここでEDF-Thaiが実際に提供している奨学金のメニューをご紹介します。
- Scholarship from EDF-Japan (日本からのダルニー奨学金) : 価格14,400円/1年
- Scholarship from Thailand (タイ人、在タイ外国人による奨学金) : 価格6,000バーツ/卒業まで一括3年
- Scholarship for orphans student 3 provinces of Southern Thailand: 価格 5,000バーツ/1年
- Scholarship for handicap : 価格5,000バーツ/1年
奨学金に関しては、日本からの奨学金と、タイ国内での奨学金の2つで、子どもたちを支援しています。
同じ奨学金制度ですが、上述の通り寄付金額が異なりますので、改めてその運用について下記の通りお知らせします。
民際センターのダルニー奨学金は、1人の中学生に対する1年分の奨学金金額は14,400円(約4,100バーツ)です。一方で、EDF Thai の場合、1人の中学生に対して、卒業まで一括3年分の奨学金金額6,000バーツのみの選択となっています。 いずれも支援者の皆様よりいただきましたご寄付を奨学金としてタイ農村部にある中学校に在学している貧しい学生へ提供しております。
但し、14,400円の民際センターからの日本の支援は、EDF Thai の奨学金より多額に設定されており、このタイプの奨学金は、より経済的に貧しく、緊急な支援を必要とする学生に提供させていただいております。そのような学生の選定基準は、下記の通りです。
- 両親を失った生徒。
- 父親と母親のどちらかを失った生徒。
- 離婚等の理由で父親、母親のどちらとも暮らせなくなり、親戚等に身を寄せている生徒。
上記の基準の対象となる生徒は、両親と暮らしている生徒に比べて、途中で学校をやめるリスクが高くなります。これらのグループに属する生徒を14,400円の奨学金の支給対象者として優先しますが、万が一、そのような奨学生数が提供された奨学金口数より少ない場合、家庭の状況に応じて検討し、他の生徒に提供させていただくことにしています。
一方、EDF Thai の3年間6,000バーツの奨学金は、在タイの日本人の方々にもご支援いただけるよう、EDF-Thaiのホームページ上に日本語のサイトを用意し、振込みやドネーションポイントなどで簡単なご寄付が可能になるようにさせていただいております。
公益財団法人 民際センターへのご寄付は特定公益増進法人として、所得税・相続税・法人税の税制上の優遇措置を受けることができます。 日本にお住まいの支援者の方々へは、現行の14,400円の寄付金である、ダルニー奨学金をお願いしております。
一方、EDF-Thaiも、タイ王国より認定された団体であり、タイ国内の税優遇措置を受けることが可能です。
このように、EDF-Thaiへの奨学金寄付は、日本においての寄付金控除は適用されません。また同様に、民際センターへの奨学金寄付は、タイ王国においての寄付金控除が適用されませんのでお含みおきください。
奨学金を必要とする生徒から、毎年平均で10,000人の奨学金申請書が事務所に届けられています。
民際センター、EDF-Thai共に、協力をしながら、適切に子どもたちへ奨学金を提供してまいります。
今後とも引き続き温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
【タイ事業所長サンペットからのメッセージ】
【タイ事業所のスタッフ紹介】
■コイ
私の名前はシリラック・アンタラセナ(Sirilak Antarasena)です。ニックネームはコイ(Koi)です。
趣味は、旅行、映画鑑賞、アジアシリーズを観ること、そしてランニングです。
2005年1月よりバンコクにあるEDF‐タイ(タイ事業所)で働いています。私の妹が、当時EDF‐タイで会計の仕事をしており、私が修士号を取得して卒業し仕事を探すまでの期間、奨学⾦部⾨でパートとして働くことを勧めてくれました。働いているうちに、上司のサンペットさんから正式にスタッフにというお話をいただき、EDF‐タイで働くことになりました。今では、奨学⾦部⾨でプロジェクト・マネージャーの仕事をしています。
⽥舎の貧しい地域へ訪れて、⼦どもたちや学校を訪問する時、彼らがいかに貧しい⽣活をしているかを⽬の当たりにしますが、その度に、地域の⾃発的な発展のための協⼒や⽀援の必要性、そして⾃分たちに何ができるかを考えさせられます。だから、EDF‐タイで働くことが私にとって、社会や国のために働くことにつながっているように思いますし、私はそこに幸せとやりがいを感じています。
⽇本の⽀援者の皆様は、とても親切で、特に恵まれない⼈々を助ける愛があると思います。⽇本より奨学⾦の⽀援を受けたタイの⽣徒たちは、現地スタッフである私に、感謝の気持ちをたくさん伝えてくれます。そのことにより、私はこの仕事をさらにしっかり責任をもってやりたいと再確認させられます。教育を受ける機会を与えてくださる⽇本の⽀援者の皆様に⼼より感謝しています。
■プロイ
私の名前はプロイパソーン プールサワット(Ploypassorn Poolsawat)です。ニックネームはプロイ(Ploy)です。趣味は料理、家庭菜園、運動です。
1997年8月26日からEDF-Thai(タイ事業所)で働き始め、20年以上が経ちます。EDF-Thaiの発展、飛躍を当初からスタッフ皆で努力し、見届けてきたことが私の誇りと喜びです。現在、経営管理部の管理責任者であり、経理、⼈事、総務を⾏っています。
仕事で学校を訪問する時、貧しい子どもたちが教室で楽しむ姿を見ることがいつも大きな喜びです。好奇心いっぱいで、同級生たちと新しい発見をしては喜びに満たされている姿がただ嬉しいのです。また、昼食の時間は、校庭で三々五々、近所に住む友達が輪になってささやかな“お弁当パーティー”が開催されていますが、目にすると、自然と笑顔になってしまいます。少ない量のお弁当にもかかわらず、子どもたちは食べ物を分け合い、絶えず他の子を思いやります。他者を愛し親切に寛容に接することは、学習の中で最も大切であり、大人にとっても重要なことであり、彼らはそれを実践的に既に学んでいるのです!なんと素晴らしいことでしょう!
EDFグループの強さのポイントは“家族”のようであるということです。普段からコミュニケーションを密に取り合い、良い時は笑顔と笑い声であふれ、たいへんな時は団結してお互いを助け合います。私たちの仕事に向かう姿勢の基盤には、団結心と親切、そして喜びがあり、だからこそいつ問題が起こったとしても、すばやくそして手際よく問題に対処することができると思います。私にとってEDFは家族であり、我が家なのです。
日本の支援者様へ
まず、これまで奨学金やプロジェクトを通してタイの生徒を親切に支援してくださった皆様に、心から感謝申し上げます。現在大変な状況にありながらも、タイの生徒への支援が日本の皆様から途絶えないその寛容さに本当に感謝しています。
最後になりましたが、サポートいただいております奨学生とタイのスタッフ一同、支援者の皆様とそのご家族が心身共に守られ、今、直面している新型コロナウイルスの荒波をしのぐことができるよう祈っています。
■ノック
私の名前は、Wichitr Nilphuyです。ノックと呼ばれています。趣味は、映画鑑賞、ネットサーフィン、ジョギングとバトミントンです。1997年2月17日からEDF-Thai(タイ事業所)で働き始めました。友人からEDF-Thaiで求人募集があるという話を聞いたのがきっかけでした。現在、経営情報システムマネージャーをしています。
農村地帯で貧しい子どもたちの状況調査をする時があるのですが、私にとってこれがとてもよい経験になっています。この仕事に就くまでは、貧しい家庭の実際の現状を目にすることはなかったからです。貧しい生徒たちが学ぶ機会を得て、希望を持つことができている姿に喜びを感じます。EDFグループで働けることは私にとって幸せで、このように社会に貢献している団体の一員として働けることがとても価値あることだと感じています。
日本の支援者様は、外国であるタイの子どもたちを助けてくださる本当に親切な方々だと思います。
恵まれない子どもたちに、たいへん価値のある学ぶ機会を与え、さらに進学したいという夢を叶えてくださり、心から感謝申し上げます。
■アヌチャート
私はアヌチャート・コンマーと申します。タイ人の名前は長くて覚えにくいですからニックネームがあります。私のニックネームは名前の一部をとり、「チャート」と呼ばれています。趣味は読書、バドミントン、地方に遊びに行って地元の人たちと交流しながらのんびりすることです。
2004年に国費留学生で日本語教育の研究生として留学を終え、帰国してから就職活動をしていました。ある日、英語の新聞にEDF-Thai(タイ事業所)の日本語コーディネーターのポジションの募集を見ました。そのときは社会的活動を実施する非営利団体のことは全く知らないまま、ただ日本語を使える仕事に就きたいと思って応募しました。
EDF-Thaiで勤務したばかりのころに担当した主な仕事は、⽇本から来られる研修旅行の参加者のお世話をすることでした。タイ東北地⽅の学校と村で⾏う交流会や奨学⾦授与式の通訳、司会などが主な任務でした。学校と村の偉い⼈たちの前で初めてしゃべったときはとても緊張したことをまだよく覚えています。また、タイの地⽅の学校と村⼈の⽣活を⽇本⼈参加者の皆さんに説明できると同時に、私⾃⾝も、⾸都での⽇常⽣活の中では触れることの出来ないタイの他の⾊々な側⾯も勉強することができました。特に奨学⾦を必要とする⼦どもたちの貧困家庭の問題については、例えば、その地域での深刻な⼲ばつ問題で、⽣活を⽀える農業に⼤変な影響を与えていること、両親の離婚により、収⼊のない祖⽗⺟と残された⼦どもたちが働きながら勉強しなければならないことなど、知れば知るほどタイには⽀援が届いていない部分がまだ多くあると再認識することができました。
⼊職してから15年が経ち、現在はバンコクを中⼼に奨学⾦を待っている⼦どもたちの話をタイ⼈にも⽇本⼈にも伝えるという募⾦活動と広報活動を担当しています。個⼈にも企業にもこれまで沢山の⽅々に「教育は⼈を築く」という私たちの理念を聞いていただき、私にとっても⼤変良い経験になりました。
最後に、⽇本の⽀援者の皆様に感謝の気持ちを込めてお伝えしたいことがあります。これまでお会いできた多くの⽇本の⽅がよく⾔われる、「タイで仕事をさせてもらったのでタイには恩返しとして何か残していきたい」という優しいことばに、私はとても感動しているということです。これまで⽀援をしてくださった皆様に⼼から深く感謝しています。皆様のご⽀援は、タイの恵まれない⼦どもたちの⼈⽣を変える本当に貴重な贈りものです。
■ジョーク
私の名前は、ウィラヤット カンティア(Weerayut Kantiua)です。ニックネームは、ジョーク(JOKE)です。趣味は、運動と音楽、写真です。友だちの父からEDFのことを聞き、2014年10月20日からEDF‐Thai(タイ事業所)で働き始め、現在は日本語コーディネーターをしています。
EDF‐Thaiで働く前、私はタイには貧困問題はないと思っていました。2017年、タイ北東部(イサーン)にある生徒の家を訪問する機会があり、他のスタッフと一緒に行きました。そこで、多くの子どもたちが、年老いた祖父母たちと、食糧を買う十分な経済がない貧しい暮らしをしている姿を見ました。タイの貧困問題はまだ解決していないのです。だから今、私はこの問題について頻繁に友人に話したり、出来る範囲の支援をしてもらえるように頼んだりしています。
私は、EDFの一員としてこの仕事に携われることを、深く感謝しています。私たちを支援し、タイの地方に住む子どもたちに教育の機会を与えてくださった日本の支援者の皆様、ありがとうございます。皆様は子どもたちにより良い生活と教育を与えてくれました。心より感謝しています。
■ペック
私の名前はチュニャコーン・ラタナプラジットです。ペックと呼ばれています。 EDF-Thai(タイ事業所)で15年ほどファンドレイジングのディレクターとして働いています。私は1977年、チェンマイ県に隣接するタイ北部のランパーム県に⽣まれました。ランパーム県にある⾼校を卒業後、チェンマイ⼤学で政治学の学⼠と修⼠号を取得しました。修⼠号を勉強している最中、チェンマイにあるタイ政党で実習⽣として働く機会がありました。その後はバンコクへ移動し、パトゥムターニー県にあるナワナコーン⼯業団地でタイ労働者の英語教師として働きました。そこで何年か勤務した後はEDF-Thaiで勤務していた⼤学時代の友⼈から勧められたこともあり「EDF-Thaiで国際的なプロジェクトのコーディネーターになる」という新たな挑戦をしよう、と決意しました。
私は18年前の2003年からEDF-Thaiで働き始めました。その当時、NPOやNGO団体が、どのように恵まれない⼦どもたちの⽀援をしているのか、タイ⼈の間ではあまり知られていませんでした。通常NPOやNGO団体は「政治活動家」または「救命隊」と思われていた為、私は「EDFの寄付によって、⽣活の質を上げたり、タイの恵まれない⽣徒たちに教育を受けるチャンスを与えたりできること」にかなり驚きました。
更に感動したのが、世界の違う場所に住む心優しい日本人が奨学金支援をしてくださることです。これが「EDF-Thaiで働き始めよう」と決意させたきっかけでした。2003年から2005年の間、EDFでの実務経験やプロジェクト管理経験は、私にとって有意義なものとなりました。調査やプロジェクトで様々なイサン地方と言われるタイの東北部の多くの県を訪れ、ここに住む農村のタイ⼈が貧しい⽣活をしており、早急の⽀援と助けが必要とされていることに私は気付きました。その内の何人かは、人として最低限必要な(衣食住と医療)を満たせていなかったのです。タイはここ20年ほど経済成長が著しいにも関わらず、まだ地方ではこうした赤貧の生活が存在しています。経済発展が進めば進むほど、裕福な人々と貧しい人々との差は広がっていきます。この状態は他の国も同様で、私がEDFの同僚とラオス、カンボジアの2カ国へ訪れた時もそのように感じました。
2005年、タイへの奨学⾦寄付が減少し始め、⼀万⼈もの恵まれないタイの⽣徒達が⽀援を待っているさなか、当時EDF-Thaiの事業部は「このような⽣徒達の教育の未来を必ず守らなければいけない」と決断しました。私はEDF-Thaiのファンドレイジングチームを先駆者として任されたことをとても光栄に思うと同時に、これは私にとって挑戦である、と感じました。なぜなら「我々は誰も募⾦活動の⽅法を知らなかったから」です。当時ファンドレイジングに関しての⼤学コースも無かったため、チームメンバーと私は募⾦⽅法を⾃分たちで調べ上げました。そこから多くの募⾦キャンペーンを⾏い、新しい⽀援者をタイ⼈、⽇本⼈、そして海外からも得ました。私はいつも⾃分のチームメンバーに「ファンドレイザーとして働くことは『毎⽇価値を⽣むこと』と同じで、私たちは、私たち⾃⾝のために募⾦のお願いをしているわけではなく、⼈々に『私たちと共に、何千⼈ものかけがえのない⼦どもたちを救おう。そして彼らを決して⾒捨てないようにしましょう』とお願いしているのです」と伝えています。チームを作り上げてから約15年で、我々は様々な募⾦キャンペーンを実施しました。タイや⽇本⼈⽀援者を通じてたくさんのタイ⽣徒の教育の未来を救うことに貢献でき、それを誇りと価値のあるものだと私は感じました。
ここでは語り尽くせませんが、何百もの素敵な経験や感動的な瞬間を体験させていただきました。素晴らしい体験の⼀つとして、他のEDFグループの国々の同僚達と今までの経験を共有し、共に協⼒した機会が挙げられます。たとえ⼀⼈ひとり違う⼈間であっても、不利な⽴場にある⼈々の⽣活の質を改善し、向上させるための意志を持っていることは我々の共通点です。アジア圏の⼈々だけでなく、世界中のどこかで助けを求める⼈が現れた時にも⾔えることだと思います。
EDFグループを築き上げ、存続させてくださっている⽇本⼈の⽀援者とサポーターの⽅々にはとても感謝しています。皆様の⽀えがなかったら、EDFグループの「経済的に貧しく学校に通えない⼦どもたちに、教育⽀援により就学の夢を叶える」というミッションは実現しなかったでしょう。決して貧困が終わるとは⾔い切れませんが、皆様が寄付してくださったこと、我々が働きかけていることや皆様が協⼒してくださっていることは、恵まれない⼦どもたちの⽋けを補い、苦難を乗り越えるために必要な「学び」の機会を与え、⾃⽴を促し、そして今度は⾃分たちが⽀援してもらったように他の恵まれない⼦どもたちを救うことができる、と信じています。
EDF-Thaiの同僚たちと
*EDF︓「Education Development Foundation、⺠際センターを含む各国事業所の総称名」
タイの奨学生
Share the dream !
【元奨学生のその後】
プレムチット・ブバンラムさんからのビデオ・メッセージ
【民際センターを通してできるタイへの支援】
ダルニー奨学金(中学1年生~3年生対象)
貧しく中学校に通えない子どもへ奨学金の提供。
顔が見える、成長が見守れる、1対1の教育支援。
1年 14,400円/人
プレゼントセット(生徒へ)
文房具や日用品など、現地で必要な物を選び贈ることで、
子どもたちの学ぶ心をさらに励まします。
8,000円/個
学校教材支援セット(学校へ)
地方の学校で不足している基本的な教材・スポーツ用具を
贈りることで、たくさんの生徒たちが学ぶ機会を得ます。
20,000円/セット
教材セット スポーツセット