【タイ】タナポン君の物語:より良い未来を夢見るスラム街の少年
3月20日に締め切りを控えるタイの奨学生候補の子どもを紹介いたします。
「僕の家には寝室も勉強する場所もない。でも、家族のために勉強を続けたいんだ」
僕の名前はタナポン・トンシリパイブーンです。現在、スリン県にあるテサバーンアヌソーン学校の小学6年生で、もうすぐ中学1年生になります。
僕の家は普通の家とは違います。トタン板と壊れたレンガでできた小さな家で、地元の市場の裏にある混雑したスラム街にあります。土地は財務省のもので、家族は年間1,700バーツ(2025年2月時点:日本円換算して約7,600円)の家賃を払わなければいけません。僕たちの家には寝室がなく、小さなバスルームがひとつあるだけです。祖父母と一緒に住むには十分なスペースがなく、祖父母は家の隣に小さなトタン屋根の小屋を建てました。
(ご家族とタナポン君)
困難に直面する家族の状況
僕の家族は祖父、祖母、父、母、姉、妹、そして僕の7人です。祖父母は高齢で病気を患っています。祖父は高血圧で、政府から毎月600バーツ(約2,600円)の補助金しか支給されません。祖母はSLE(自己免疫疾患)、糖尿病、高血圧を患っており、定期的な治療が必要です。父は建設関係に勤めており、仕事の内容にもよりますが1日250~300バーツ(約1,100~1,300円)の収入を得ています。肥満と高血圧も患っています。母は仕事を失い、収入がまったくありません。姉は教育費が払えず、中学3年生で退学しました。妹は現在小学3年生です。僕は6年生ですが、経済的支援がなければ勉強を続けられないかもしれません。
小さな家に尽きない課題
家の裏で飼うにわとりの臭いはきつく我慢するしかありません。雨季には屋根から雨漏りがして、バケツで水を溜めなければいけません。夏は日中、家の中が耐えられないほど暑くなり、外の日陰に座っています。テレビはありますが、野菜を育てたり生活環境を改善したりするスペースはありません。
奨学金は学びを続ける唯一の希望
たとえ家が小さく苦労が多くても、自分と家族のために、より良い未来を築くために、僕は勉強を続けたいと思います。姉のレベル以上の勉強をして、安定した仕事に就き、両親や祖父母を支え、この苦しみから抜け出すのが僕の夢です。僕に必要なのは、学び続けるチャンスだけで、奨学金があれば教育を止めずに済むようになります。これから僕を奨学⾦でサポートしてくださる⽅に心から感謝します。
「ダルニー奨学金」は、支援者1人につき1人の子どもを支援し、
子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。