中学進学に立ちはだかる、通学の難しさと貧困
カンボジアのコンポンチュナン州コンポントララッチ郡に暮らす、ダルニー奨学金の候補生2人をご紹介します。
学校数が少なく、自宅からの距離が遠くなる中学校
12歳のイェン・ヴェアスナさんは、小学6年生。算数が好きで、教師になりたいと思っています。
6人きょうだいの4番目で、兄2人は中学3年生の時に中途退学し、家計のために仕事を見つけました。もう1人の姉は中学2年生です。
村で日雇いの仕事を見つけながら働く両親は、わずかな収入しか得られません。母親は小学3年生まで、父親は小学4年生までしか学ぶことができませんでした。「娘には良い教育を受けて教師になってほしいです。貧しい暮らしをしてほしくないですから。」と両親は語ります。
ヴェアスナさんは来年から中学校で学びますが、その学校は自宅から5キロ離れた場所にあるため、通い続けることが難しく、中途退学してしまうかもしれません。今、彼女は中学進学のための支援を必要としています。
貧しい家庭環境から中途退学が続く兄弟たち
写真右側の少年、マン・プラヒム君は12歳。ヴェアスナさんと同じ小学6年生です。彼も算数が好きで、教師になるのが夢だと言います。
プラヒム君は4人きょうだいの末っ子です。1番上の姉は高校3年生の時に中途退学し、2番目の兄も中学3年生で中途退学、そして3番目の兄は現在中学2年生です。
プラヒム君の家族は日々の暮らしの助けとなるような農耕用の土地を所有していません。小学校を卒業することができなかったプラヒム君の両親は、村の中で日雇いの仕事を探しながら、1日に約30,000リエル(約960円)ほどの収入を得ていますが、これは家族6人を養うには少なすぎる金額です。
来年プラヒム君は中学校へ進学しますが、中学校は自宅から約5キロ離れ、川を渡らなければなりません。彼の母親は言います。「プラヒムには良い教育を受けさせ、未来のためにも教師になってほしいと思います。しかし私たちには農地も定職もなく、息子を中学へ通わせ続けることは非常に困難です。」
農村部の人々の多くは決まった仕事に就けず、収入を得られないため貧困に直面し、農業しか生きる糧がありません。そしてそのほとんどの家庭では、子どもたちを中学校へ進学させることができません。小学校よりも通学距離が遠くなり、教育費がかさむためです。生徒の中学校就学を支援することは、カンボジアの人材を育て、国民の明るい未来を築くことにつながります。
「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。