カンボジア:貧困から抜け出すための教育
貧困の連鎖が何世代にもわたって続くカンボジア。ある調査によると、それは子どもがきちんと教育を受けられないことが原因であり、多くの場合その子どもたちの両親もまた、小学校に行っていないか、中途退学していると言われています。
コンポンチュナン州に暮らす2つの家族から、家庭の様子と中学校進学への想いを聞きました。
パンネットさん一家
小学6年生のセアン パンネットさんは、農村部に住んでいます。しかし家族は農地を持っていないため自給自足ができず、毎日お米を買わなければならない分、生活は苦しいと言います。
パンネットさんの両親は十分な教育が受けられませんでした。父は小学6年生まで、母は小学4年生までしか学校に通えていないため、定職に就いていません。日雇い労働で日々をしのいでいます。
国語の勉強が好きで、将来は先生になりたいと思っているパンネットさんですが、いま心配していることがあります。「私は今年で小学校を卒業します。来年からは中学校で勉強を続けたいですが、自宅から中学校までは遠く、約10kmあります。どうやって学校に通えばいいかわかりません。」パンネットさんのお母さんも話してくれました。「娘には中学校でも学んでほしいけれど、私たちの家計では厳しい状況です。でも、なんとかサポートしなければと考えています。」
パンネットさんとお母さん 家の前にて
チャンペセタくん一家
ヘン チャンペセタくんも小学6年生です。算数の勉強が好きな彼の将来の夢は、先生になること。彼も農村部に暮らしています。やはり家族に農地が無く、毎日の食費がかさんでしまうために、苦しい生活を送っています。チャンペセタくんはもうじき小学校卒業を迎えますが、「これからも勉強を続けて教師になりたい」と語ってくれました。
チャンペセタくんの両親は小学校を中途退学しています。村では自ら仕事を作り出すことは難しく、日雇いの仕事を探すほかありません。「チャンペセタには私たちと同じ思いをさせたくありません。息子に明るい未来がやってくるようにと願うばかりです。」
家で勉強するチャンペセタくん
カンボジアでは、中学校卒業、できれば高校卒業までの教育を受けていることが、安定した収入がある仕事に就くための条件となります。パンネットさんやチャンペセタくんのような家庭では、教育を受けられないこと、また受けられても途中で学校をやめてしまうことにより、貧困から抜け出すための道を絶たれてしまうかもしれません。このような境遇にある生徒が中学校でも学び続けるための「奨学金支援」は、カンボジアにおける人材育成と、彼らの明るい未来を築くことにつながります。
カンボジアの奨学金の締切は7月20日です。
「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。