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7月 2020

中学校進学を心待ちにするカンボジアの奨学生

カンボジアの教育は多くの課題を抱えています。民際センターが支援する農村地域では、首都があるプノンペンに比べ、学校施設や教材、教師が不足するなど教育環境が整っていません。また、通常、村には1つの小学校がありますが、中学校は4~5つの村に1つしかないため、家からの通学距離が遠くなります。雨の日には舗装していない道はぬかるみ、森の中の道は人目がなく、その通学には危険が伴います。このような環境は、子どもたちの通学を難しくし、結果として中途退学の大きな原因となっています。さらに、貧困家庭では、勉強よりも生活が優先され、子どもも生活費の一部を稼がなければ家族の生活が成り立たない場合があり、子どもたちは学校を辞めて働かざるをえないのです。

政府は、小学校4~6年生、中学校1~3年生を対象に奨学金制度を設けています。これは、カンボジア全土の子どもに、平等な教育機会を与えるために設けられたものですが、財政的な理由からその支援は十分ではありません。

今回紹介する子どもたちは、カンボジアの首都プノンペンから車で数時間走り、メコン川の支流を渡り、さらにトゥクトゥクで2時間かかるコンポンチュナン県郊外の村に住んでいます。皆、小学校の最終学年(6年生)。家庭は貧しいですが、学校が大好きで成績も優秀です。ダルニー奨学金を受けてこの秋から中学校へ進学することを心待ちにしています。

チアート ローサ(13歳)

チアート ローサの父は、数年前に亡くなり、体の弱い母が主に家計を支えています。ローサは、3人兄弟の末っ子で、兄は現在18才ですが、中学校3年生の時、家が経済的に非常に苦しかったため学校を辞めざるをえませんでした。現在は、工事現場での日雇いの仕事をして日給は28,000リエル(日本円で約730円)。そのすべては家族の生活費ですが、仕事はいつもあるわけではありません。家では、2匹の豚と10羽の鶏を飼っています。学校へ行く前と放課後、その家畜への餌やりはローサの役目です。休みの日には、近所の家の仕事を手伝ってお駄賃をもらい、それは生活費の一部になります。ローサは、家にいるほとんどの時間、家事をしています。それ以外の少しの時間、一生懸命勉強して毎月のテストではクラス39人の中いつも1番です。

チ バネット(11歳)

チ バネットは、学校が大好きです。得意科目は、算数で将来は看護師になりたいと考えています。彼は、4人兄弟の上から2番目で、姉は中学校3年生、妹たちは、小学校5年生と3年生で一緒の学校に通っています。父は、体調が悪く働けません。母が働いて家計を支えますが、村では仕事が見つからないので隣村で日雇い労働をしています。家族の生活費は月400,000リエル(日本円で約10,500円)で、母の収入が少ない時には支払えないこともあり、その時は近所の人に借金をします。チ バネットは、衛生環境の悪い家で暮らし、栄養状態も悪いため、たまに体調を崩します。でも、学校は大好きで一生懸命勉強し、成績も優秀です。両親は自分たちが教育を受けていないため、定職を見つけることができず貧しさから抜け出せないことを知っています。子どもたちには、教育を受けて安定した仕事に就いてほしいと願っています。

ハイ ラムット(14歳)

ハイ ラムットは14歳で、得意科目は国語(クメール語)です。将来は学校の先生になりたいと思っています。3人兄弟の真ん中で、兄は、現在18歳ですが父の死後、家計を支えなければならず中学校2年生で学校を退学して働かざるをえませんでした。地元を離れ、隣町のキャッサバ(イモ)農家で働き、その収入は500,000リエル(日本円で約13,100円)です。家族は、自分の畑はなく、粗末な小屋に住んでいます。母が子どもたちの面倒を見つつ近所の仕事を手伝い、一日10,000リエル(日本円で約260円)をもらいますが、その収入は不安定です。ラムットは、順調に進級していれば、14歳なので中学校3年生ですが、実際は、小学校6年生。家が貧しく、学校に通えない時期があったため、留年をし14歳になってしまいました。母は「彼が6歳の時に小学校に通わせたかったけれど、家計が苦しくてできませんでした。私は、充分に教育を受けることはできませんでしたが、子どもたちは、教育を受け、安定した仕事に就いてほしいと思っています。」と話します。

オーン アネザ(15歳)

オーン アネザは、4人兄弟の上から2番目、姉は中学校3年生、妹2人はまだ学校には通っていません。得意科目は、国語(クメール語)で将来は国語の先生になりたいと話しています。両親は自分の土地を持たない小作人なので、他人の土地を耕しますが、その収入はわずか。そして、農繁期が過ぎると家から離れた村の日雇労働者として建設現場で働きます。母は、「うちの家族には定期的な収入がないのですが、米など生活必需品を買わなくては生きてはいけません。私も夫も就学したことはありませんが、子どもたちにはできるだけ教育を受けさせて収入の安定した、本人の望む仕事に就いてほしい。」と願っています。

ソム ソペア(13歳)

ソム ソペアは3人姉妹の末っ子。姉は中学校2年生で学校を中退し、今は結婚して家を離れています。両親は学校に通ったことがありません。父は、病弱で働けないので、母が、働いて家計を支えますが、その母もそんなに体調が良いわけではないので、家の近くでしか働くことができず、近所の仕事を手伝わせてもらいお金をもらいますがその稼ぎはわずかで200,000リエル(日本円で約5,260円)ほど。父の病院代と生活費には、充分ではありません。ソム ソピアは「生活は苦しいのですが、私は毎日学校へ行きます。好きな科目は国語(クメール語)なので将来は学校の先生になって、子どもたちにクメール語を教えたいと思います。そして、次は私が両親を支えたい。」と話します。

 

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。
1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。

カンボジアの締切は7月20日です。

 

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