【タイ洪水奨学金5000キャンペーン】 タイ洪水の被害に遭った子ども -ボーちゃんの夢-
両親に捨てられ、祖母と生まれつき障がいを持つ伯父と暮らすアティッタヤー・サーウィサイちゃんは、ロイエット県のルーンカー校に通う6年生です。
ニックネームを「ボーちゃん」という彼女は、自分の両親の顔を見たことがありません。写真すらもないのです。
また、両親はボーちゃんを引き取り、育ててきた祖母と伯父に、今まで一度も仕送りをしてきたことがありません。
<左から:伯父さん おばあさん ボーちゃん>
ボーちゃんの家には自分たちで食べる分だけの米を作れる程度の、小さな田んぼがあります。たまに伯父にちょっとした仕事を頼んでくれる人がいますが、障がいを持つ伯父に仕事の依頼が来ることはほとんどありません。
なので、家族が生活していくための主な現金収入は、高齢者手当と障がい者手当の合計、月1,000バーツだけです。
また、ボーちゃん自身も幼い頃から甲状腺機能亢進症(バセドウ病)という持病があります。
甲状腺のある喉の部分の腫れが徐々に進み、普段からとても疲れやすいという症状が出ています。
昨年の9月から11月にかけて各地に大きな被害をもたらした大洪水は、ボーちゃんたち家族にも辛い災害となりました。
家は1メートル冠水し、祖母と伯父が来年の収穫を楽しみに一生懸命手入れをしていた小さな家庭菜園も田んぼもすっかり水に浸かってしまいました。
避難生活を強いられることになった彼女たち3人は、洪水被害を免れた知り合いの家に身を寄せ、分けてもらった食事と行政から支給された支援物資で毎日をしのいでいました。
<洪水の水位を指差すボーちゃんとおばあさん>
タイ事務局スタッフがボーちゃんに電話聞き取り調査をした11月中旬、家から水はひいているということでしたが、家屋の被害にもまして、ボーちゃんたち家族に大きな打撃を与えたのは、家族の食糧供給源といっても過言ではない家庭菜園と田んぼがダメになってしまったことでした。
さらに、家に保管してあった種もみと野菜の種もすべて洪水に流されてしまいました。
ボーちゃんは「ふだんから苦労ばかりしているおばあちゃんと伯父さんのことを思うと、かわいそうでたまらないです。
今回の洪水で、私たち家族はほとんどの物を奪われてしまいました。
おばあちゃんは「来年食べるお米はもう無いんだよ。種もみも残っていないから新たに米を植えることもできないんだよ。。。借金をして米を作ろうにも、返せる当てのない年取ったおばあちゃんや、障がいがある伯父さんにお金を貸してくれる人なんかいないんだよ」って・・・。」と、打ち明けてくれました。
ボーちゃんについて、学校の先生は「ボーちゃんは学校に持ってくる1日たった5バーツのお小遣いさえも倹約して、2~3バーツ残しては、おばあさんの具合が悪くなった時に備えて貯金しておくような、しっかりした子です。勉強もよく出来るし、様々な学校行事の時、いつもすすんで手伝いを申し出てくれます。また、学校のポーンラーン楽団(訳注:タイ東北地方独特の楽器とダンサーで構成された伝統芸能楽団)に所属し、学校を代表して様々なイベント等で表演しています。こうしたイベントでもらう謝礼(お小遣い)もすべておばあさんに渡しているようです。」と話してくださいました。
<中央:踊りの練習をするボーちゃん>
<右端:イベントで衣装姿のボーちゃん>
ボーちゃんには、お医者さんになりたいという夢があります。
しかし、この先食べるお米すら手に入れられないという不安を抱えた彼女が、一体どうやってお医者さんになる夢を実現できるでしょう。
今年タイを襲った大洪水は、多くの人々の命、家、財産を奪っただけでなく、貧困層の生活に深刻な影響を及ぼしています。
洪水の影響による貧困層の負担増は、今のボーちゃんだけでなく、同じような境遇にある何千、何万という子どもたちの将来をも圧迫しています。
こうした子どもたちも、奨学金さえあれば、あきらめていた通学や進学が可能になり、友達と一緒に遊び、成長し、勉強をすることができます。
そして将来、学校で得た知識を役立て、職に就き、家族を守ることができるのです。
このような子どもたちが安心して勉強を続けられるように、タイ洪水奨学金キャンペーンへのご協力をお願い申し上げます。