綾部市立東綾中学校様へのワークショップ開催について
2023年6月2日、京都府綾部市立東綾中学校の生徒が修学旅行で東京に来られ、班別行動での訪問先として民際センターへ立ち寄られました!当日は台風が近づいており、本州は大雨に見舞われていました。足元が悪い中、初めて訪れる日本橋の民際センター事務所にたどり着くのはほんとうに大変だったのではないかと想像します。当日はワークショップを開催した後、生徒が事前に用意した質問事項に回答させていただきました。
外の世界を知る
今回事務所に来ていただいた生徒さんは4人。世界の人口は約78億人です。今の中学生は学生生活中ずっとコロナ禍で海外旅行に行けなかったかと思います。そこでまず、世界には様々な見た目の人々がある程度同じ文化・同じ言語を共有しながら集まり、多様な暮らし方をしていることをお伝えしました。
生徒さんに「世界の中で、アジアに暮らしている人々は世界の何割だと思いますか?」と問いかけると、数人の子たちが「4割ぐらい?」と答えてくれました。生徒さんたちは、正解・不正解に関わらず自ら考え、問いかけに答える姿勢を見せてくれます。民際センター職員が世界の人口のうち約6割がアジアに住んでいると伝えると、少し驚いた表情をしていました。民際センターが支援するメコン5カ国も、日本も同じアジアの国です。しかしながら、民族衣装や見た目、そして暮らし方には多種多様なものがあります。さらにいうと、トルコやインドもアジアの一部で、西アジアには東アジアとは全く違う生活様式があることがわかります。このように考えると、アジアという枠組みは幅が広く、とても興味深いということに気づくことができます。
多種多様なアジアの子どもたち。(左上)トルコ人の女の子、(左下)日本人の男の子、(右上)インド人の男の子、(右下)タイ人の女の子
世界の課題を知る
世界には様々な人がいることを知ってもらった上で、さらに貧困問題についてアプローチするため世界の経済格差についてお話ししました。そしてその経済格差はそれぞれの国に暮らす子どもたちの生活に影響を及ぼすことをお伝えしました。世界に暮らす子どものうち、中学校に通えるのは約4割で、その半分が卒業を待たずに中途退学してしまうことを話すと、生徒さんたちの表情が神妙になる様子が伝わりました。
ワークショップは民際センターの応接室で行われました。
民際センターの主軸事業であるダルニー奨学金制度では、年に一回支援者様に奨学生の写真と奨学金証書をお届けしています。卒業まで継続してご支援いただける場合、基本的に、同じ子どもをご支援していただけます。民際センター職員は各国事業所の職員とボランティアと力を合わせて、支援者様にお届けする証書の発送作業をしていますが(※)、その作業の中で、奨学生が中途退学してしまったため、別の子どものご支援に変わってしまうケースを何度か見てきました。
勉強を続けたいという本人の意志に反して、特に貧しい家庭においては、都市部で働くために家族で引っ越すケース、または家計を支えるために生徒自身が働かざるを得ない場合や、結婚を理由として退学せざるを得ない場合もあります。民際センターの職員は常に、一人でも多くの子どもに教育の機会を提供し続けたいという想いで活動にあたっています。
このようなやむを得ない中途退学のケースを見るたび、私たちの仕事の難しさを痛感します。そしてそれは同時に、奨学金事業を通した支援をこれからも続けていこうと決意する瞬間でもあります。
※国によっては直接支援国から証書が郵送される場合もあります。
中学校代表の生徒から未使用切手を頂きました。
最後に生徒代表の方から、東綾中学校様が力を合わせて集めた未使用切手を受け取りました。未使用切手はラオスの子どもたちの奨学金として確実に届けさせていただきます。
今回のワークショップでは、世界には多種多様な人が住んでいること、豊かな国がある一方で貧しい国があること、そして世界の子どもたちの中には中学校に通えず、通えても中途退学する子が数多くいることについてお話させていただきました。このワークショップを通じて、民際センターが社会の課題を次世代に伝えるお手伝いを少しでも実現できたのであれば嬉しく思います。
「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。皆様からのご支援、お待ちしております。