EDFカンボジアでのインターンシップを終えて 花堂 柚紀
以前皆様にご報告した、カンボジアからインターン3週間目の報告や、ダルニー奨学金授与式の報告で、その精力的な活動に反響もいただいた中央大学4年生の花堂柚紀さん。昨年9月からEDFカンボジア事業所のインターンとして現地スタッフのお手伝いをしていましたが、今年2月下旬頃、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴って、感染防止の観点から、3月末までの当初の予定より早くインターンを終え、無事帰国されました。今回、インターンを振り返って感想を寄せてくれました。
ちょうど1年前、大学4年を迎える春に大学を休学し、単身カンボジアに渡りました。大学では教育学と国際開発学を学び、将来は、子どもの教育を受ける権利を守る活動をしたいと考えていました。そのため、NGOで働くことは大きな可能性の一つで、大学院に進む前に、教育NGOがどのように成り立ち、運営され、活動を展開しているのか知っておきたいと思っていました。そして、カンボジアは東南アジアの中でも特に教育課題が多く残された国であったため、この地を選びました。
知り合いの伝を頼りにまずは現地に足を踏み入れることにしました。最初は知り合いが経営していた語学学校で講師として働きながら、現地の日系NGOを訪ね歩き、休日や連休は国内外の地方農村に足を運びました。そんな活動をしているうちに、やってみたいと思う支援が見つかりました。それが里親教育支援でした。一人が救える子どもの数には限りがあり、負担も大きくなりがちですが、1:1の支援であれば、自分がどの子どもを支援しているかもわかり、より少ないお金でより気軽に支援や寄付に手が届くのではないかと、一筋の光を感じました。早速探して辿り着いたのが「民際センター」でした。調べれば調べるほど、ここでインターンをやりたいという思いが大きくなり、その旨を綴ったメールを民際センターに送りました。そして9月から晴れてインターンとして民際センターカンボジア事業所、EDFカンボジアで働き始めることができました。
インターン中、特に頑張ったのは、カンボジア現地に進出している日系企業を対象にファンドレイジングの営業を行うことでした。所長からは特に仕事は与えられず、自分でできることを探し、やらなければなりませんでした。しかし「営業」という言葉は知っているものの、右も左もわからない状態。頼れる相手もいませんでした。途方に暮れながらも、まずは在カンボジアの日系企業をリストアップし、全ての企業のウェブページの検索、各企業のCSR活動について調べました。その中から、訪問を受け入れてくれそうな会社に片っ端から電話をし、ご厚意でいくつかアポを取ることができました。しかし、その先には次の壁が待ち受けていました。実際に訪問した際、どのように立ち振る舞い、話せばよいのか、わからないことだらけで途方にくれました。藁にもすがる思いで、EDFタイの植田さんに相談に乗っていただき、パワーポイントの添削もしていただきました。けれど、実際に訪問してみると、訪問する先々で様々なアドバイスやご指導をいただくことができ、それを通じて多くを学ばせていただきました。その時できる全力をぶつけ、アドバイスをいただき、修正して、次の訪問先に臨む。その繰り返しの結果、幸運にも2社からの支援をいただくことができました。人とのつながりや出会いがいかに大切であるかということを学びました。ご支援金をくださった企業様には心より御礼申し上げます。
ファンドレイジングの傍ら、Chandy所長には多くの場所に連れて行っていただきました。EDFカンボジアが支援している学校や子どもたちの家庭、自分一人では絶対に足の運べない場所で、日本にいては見ることのできない実情や様子、教員や子ども、保護者の生の声を沢山聴くことができました。子どもたちの純粋な目と笑顔に幾度となく救われました。
その一方で、彼らが夢見る目標と彼らが生きる現実の大きなギャップや、我われの支援の限界を生々しいほどに思い知らされました。根本から変えないと結局はなにも変わらないという現実と、根本が曲がっていても今犠牲となっている子どもたちを助けなければならないという現実。つまり、大きな支援の必要性と、草の根の即効薬的支援の必要性。この2つはどちらも重要で不可分でありながら、常に矛盾していると感じます。どちらの方が重要という優位性はありませんが、この2面生の間で私はいつも自分が納得できる答えを見つけられずにいます。それをこの1年で見つけることはできませんでした。そしてこの先もずっと答えを見つけられないまま悩み続けるのだと思います。でも、それをこの身で実感し、知ることができたことは大きな収穫であったと感じています。
最後に、今回このような貴重な機会を与えてくださり、温かく見守ってくださった秋尾理事長をはじめとした民際センターの皆さま、カンボジアで住むところから食事まで全ての面倒を見てくださったChandy所長ご家族、自由にやりたいようにやらせてくださったChandy所長、たくさんの学びと元気をくれた子どもたち、そしてこの挑戦を応援してくれ、現地での生活を離れた場所から常に支えてくくれた両親、全ての方々の出会いとご厚意なくして、このような実りある経験をカンボジアという地で得ることはできませんでした。この1年、支えてくださった全ての皆さまに、この場をお借りして、心から感謝の気持ちを述べたいと思います。
花堂さんのように高い志を持って、現地に溶け込む努力を惜しまず、葛藤の中でも自分にできることは何かをいつも考え実行に移す、そんな若者がインターンとしてカンボジアの事業所に行ってくれたこと、それは民際センターにとって宝だと思います。これからの花堂さんの歩みがさらに豊かに祝福されますように、スタッフ一同願っています。ぜひまた事務局にも足を運んでいただき、その明るい笑顔を見せてください!本当にありがとうございました。
「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。