EDFカンボジアでインターンシップに参加して
民際センターには、支援しているメコン5ヶ国に事務所があり、それぞれの事務所は現地のスタッフのみで運営されています。
その一つカンボジア事務所で、今年9月から中央大学4年生の花堂さんがインターンとして現地スタッフのお手伝いをしています。今回は学生の彼女の目から見た支援地域の子どもたちの現状、支援の必要性などを報告してもらいました。これを読んでいると、彼女の志の高さに感心し、その頑張りを応援するだけでなく、私たち職員も子どもたちのために何ができるのかを改めて考える良いきっかけになりました。
休学をして日本のNGOのカンボジア事務所でインターンシップ
はじめまして。中央大学4年生で、現在は休学をして公益財団法人民際センターのカンボジア事務所(EDF-Cambodia)で9月から半年のインターンシップをしている花堂柚紀(はなどうゆずき)と申します。
今回はインターンシップを始めて3週間で感じたこと・気づいたことについてお話しさせていただきたいと思います。読んでいただけましたら幸いです。
民際センターには、現地事務所に日本人スタッフを派遣しない、という理念があります。これは理事長である秋尾氏が掲げたものですが、実際に海外で事業を展開している企業やNGOで日本人の職員を派遣していないところはあまりないと思います。なぜ理事長がこのような理念を掲げたか、この3週間で私は身を持って体験し、知ることになりました。
私が初めてカンボジア事務所に足を運んだのは6月の中旬でした。民際センターのホームページを拝見し、きっと大きい団体だろうと思いながら面接に向かいました。しかし、事務所に入ってみると、そこにはカンボジア人の所長と、2人のカンボジア人スタッフしかいませんでした。正直驚きました。これで本当に成り立っているのか、これだけ大規模なプロジェクトを本部から来た日本人の監督なく、たった3人で機能させることができているのか。
でも、この心配と不安がなんと愚かで偉そうなものであったか、働き始めてすぐ気づきました。働けば働くほど、所長を筆頭に仕事をこなす現地の人たちの底知れないパワーを日々感じています。たった3人で想像を絶する仕事量をこなしています。
EDFカンボジアの所長は本当に有能な方です。経営能力、指導能力、管理能力、資料作成などの業務能力、一人で全てできてしまうのではないかと思うくらい能力に長けています。
その下で働く2人の若いスタッフも、所長からの指導を受けながら、真摯に確実に責任をもって仕事に向き合っており、そのまじめさは、私も見習わなければと思わされます。
1週間もしないうちに、ここで私にできることはない、と悟りました。私は英語ができてもクメール語が話せませんし、読み書きもできません。関係機関とのやりとり、業務はすべてクメール語です。英語と日本語を使うのは、EDF-Cambodiaと民際センターの間でのやり取りのみです。
左から花堂さん、訪問した学校の校長先生、民際センターカンボジア事務所所長
入ってすぐ、今も尚、カンボジア事務所における自分の無力さを日々痛感しています。初めに聞いた時は理解することができずにいた理事長の理念の意味が、実際自分自身が現地の事務所に身を置いてようやく理解できたと思っています。
これだけ有能な経営者が現地にいれば、本部から日本人職員を送る必要は全くないと今は感じます。むしろ、日本人を現地に派遣することは、現地における人材育成においてマイナスに働くこともあるのではないか、上に立つ能力を持った人材が埋もれてしまい、経営能力を持った人間が育たなくなることに繋がるのではないかと思います。
日本生まれのNGOにおける有能なカンボジア人所長の下で、現地人だけですでに成り立っている団体において、足手まといにならず、役に立てることは何か、日々考えています。最初は所長が英語で作成していた報告書や資料やら、目を通しておくように言われた文書の日本語版を作り、日本事務所に送っていました。そのため翻訳に関しては頼ってもらえるようになりましたが、それと同時に、これだけでは何の貢献にもなっていないと悔しさを感じました。
他にできることはなにか考えた時、日系企業に営業をするのはどうかと思いつきました。日本語が話せるスタッフがいないため、今までカンボジアの日系企業から支援を受けることが困難でした。でも、日系企業にご支援していただけたら、それはカンボジアでの活動をさらに広げる大きな原動力になり、さらに多くの子どもが教育を受ける機会を得られることに繋がる。それが日本人である私がここに来てできる仕事ではないかと思いました。
といっても、営業のノウハウは皆無で、右も左もわからない状態です。ゼロからのスタートですが、周りのお力を借りて模索しながら、なんとか成果を挙げられるよう精進していこうと思っています。
3週目になってようやくここまで辿り着きました。まだまだ未熟の「み」にすら至っていないですが、せっかくいただいたこの半年の機会、未熟の「く」までには至れるように頑張りたいと思います。
大学生で休学をし、海外に事業所のある日本のNGOでインターンシップをすることで、色々な課題にぶつかり、様々な感情と葛藤し、自分に負けそうになりながら、なんとか一歩一歩そろりそろりと歩いています。でも、同時に学ぶこと、知ること、感じることは日々たくさんあり、今しているこの経験が自分の人生にとってどれだけ貴重で有意義なものであるかひしひしと感じながら毎日過ごしています。この機会を与えてくださった秋尾氏、所長、そして両親に心から感謝しています。海外インターンシップに興味がある方は、ぜひ思い悩まずに挑戦してほしいと思います。