EDFカンボジアでインターンシップに参加して(女子寮報告)
現在、民際センターでは、支援国の一つであるカンボジアの事務所に日本人学生インターンを始めて迎え、現地の業務に携わってもらっています。その業務は、事務所のスタッフと共に支援地域に赴き、先生・生徒たちへのヒアリングや支援物資を届けることも含まれます。私たち職員は、彼女の目から見たカンボジアとその教育環境に関する報告を随時受け、改めて現地の様子について知ることもあるのです。今回の報告には、訪問した女子寮に関して、地方における女子寮の重要性、建設の様子、生徒や先生の感謝の言葉がありました。以下は報告です。
カンボジアでは小学校が7,000校以上あるのに対して、中学校は約1,700校、高校に至っては486校しかありません。高校の就学率が20%程度に留まってしまう理由には、圧倒的な学校不足が大きく関係しています。中高校生の多くは徒歩や自転車では学校に通えないほどの距離に住んでおり、必然的に就学を諦めざるを得ない状況に陥ります。
また、長距離で通学が困難な生徒の中には、それでも学校に通うために自分たちで小屋を作り校舎裏や学校周辺に住んでいる子どももいます。非常に小さく、隙間だらけの小屋に5人前後の子どもが身を寄せて生活しています。もちろん室内には水場もキッチンも、寝床といえる寝床すらありません。5人が一緒に暮らせるとは到底思えないような場所です。
生徒が住む小屋の中
校舎裏の生徒が住む小屋
私は中高生の頃、このような過酷な状況に身を置いてまで学校に行こうと懸命に生きている同世代の子どもが海の向こうにいるなど想像もしませんでした。生まれた国が違うだけで、ここまでの格差を子どもが強いられなければならないことに改めて憤りと、悔しさを感じました。
男子生徒の場合は周辺の寺に入り通学するという選択肢もありますが、女子の場合はそのような選択肢はなく、10代の女子がセキュリティも何も確保されていない場所に子どもだけで住まなければなりません。お子様のいる方であれば、考えられないようなことだと思います。ですが、それがカンボジアの今の現実です。
EDFカンボジアは、このような女子生徒が安心して暮らし、学習できる環境づくりを支援するため、学校の敷地内に女子寮を建設するプロジェクトを2015年から始めました。
今回私は建設中の3つの女子寮に視察に行ってきました。
寮の骨組み
内装中
学校や寮を見学し、学校長からお話を聞くこともできました。見えてきたのは、地方の農村地域における教育現場の過酷な状況でした。日本では天地がひっくり返ってもありえない現状がそこら中に見て取れました。
皆さんに知っていただきたいことは、このような状況の中で、女子寮建設は天から降ってきた贈り物のようなものだということです。この建物がどれだけ貴重なものなのか、どれだけの子どもが喜び、救われるのか、言葉にはできないほどの思いを、実際に足を運ぶことで思い知ることができました。
寮内は、収納スペースのある寝床が完備され、暑さを凌ぐための2重の壁はセキュリティも確保し、壁と壁の間には個室のトイレや水甕、調理場も設置されています。このように最低限の暮らしが十分に確保されているため、これまでとは比べ物にならないほど、安心した生活ができる環境になっています。
寮の外観
水槽とトイレ
暑さ避けとセキュリティーのためのフェンス
収納付きベッド(オプション)
一つ一つの寮建設を全面支援してくださったご支援者の方々には、EDFスタッフ・学校教員そして生徒一同心より感謝しています。温かく多大なご支援、誠にありがとうございます。
まだまだ支援を必要としている子どもはいます。スタッフ一同、一人でも多くの恵まれない子どもの将来を明るく照らせるよう尽力してまいりますので、今後とも皆様からの教育支援を通じたカンボジアへの温かいご支援とご協力をお願い申し上げます。そのご支援は、カンボジアの貧困削減と平和構築につながります。