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12月 2023

群馬県の「板倉ラオスの会」 12回目のラオス研修旅行

コロナ禍を経て、今年11月~来年1月の間に3組の企業や団体様が、支援中の生徒たちに会いにラオスを訪問されます。その第一弾として、11月に群馬県板倉町で活動されている「板倉ラオスの会」の皆様がラオス南部のセコン県にあるパクトン村を訪れました。6年ぶりの訪問で懐かしい再会もあり、様々なプログラムも準備して行かれたことで、村の人々や子どもたちとこれまで以上に深い交流ができたそうです。その楽しそうな様子を写真と共にお届けします。


群馬県の「板倉ラオスの会」 12回目のラオス研修旅行

民際センター元職員 冨田直樹

群馬県板倉町の「板倉ラオスの会」は、民際センター設立当初(1987年)からダルニー奨学金を支援してきました(支援者41名中7名が板倉町の住民でした)。最初はタイの子どもを支援していましたが、「ラオスに小学校を建てませんか」という民際センター側からの提案に応じ、1998年に現地を視察した後「ラオスに学校をつくる会」を発足させ、町内外で果敢な募金運動を展開した結果、約560万円が集まり、ラオス南部の都市パクセーから車で約2時間のところにあるパクトン村に小学校を建てました(2000年4月。民際センターを通じて建設された学校30数校の2校目)。1951年にパクトン村ができて以来、初めての小学校設立でした。そして以後2017年まで板倉町の人々は隔年でこの村を訪れ、交流と支援を重ねてきました。私は民際センター職員として2005年から毎回、同旅行に随行しました(今回の随行もその縁からです)。

11月20~26日、6年ぶりにパクトン村を訪問しました。12回目です。2017年が最後の旅行のつもりだったのですが、会員のパクトン村への想いは強く、コロナが下火になるやいなや、総勢13名(うち小学生3名)で満を持して出かけました。同村付近にあるホテルで1泊した翌朝、学校に到着すると、いつものように子どもたち、先生、村人らが並んで花束をもって出迎えてくれました。6年ぶりに見る懐かしい顔、顔、顔。パクトン村はお米を作る田んぼが少し遠いところにあり、6年前に洪水に遭ったのをきっかけに田んぼの近くに移住した人が多く、小学校の生徒数は200人弱から48人に激減していましたが、どの人も笑顔いっぱいに出迎えてくれました。

村に滞在したのはわずか2日間でしたが、交流はこれまで以上に深く楽しいものでした。子どもたちと玉入れなど様々なゲームやサッカーをしたり、日本のお団子を村のお母さんと一緒に作ったり。また、いつものように参加者7名が現在、支援している奨学生と面談しました。7名中3名が中途退学したことがわかり、奨学生が別の生徒に変わっていました。中学3年生や4年生となれば十分働けます。経済的に貧しい中、中学校を4年間通い続けて卒業するのはまだまだ大変なようです。奨学生宅も2軒訪問しました。そのうちの1人の女子生徒は父親が亡くなり、母親は行方不明で、祖母と二人きりの生活でした。

       

写真 左:子どもたちとゲームで交流 中:支援している奨学生との面談 右:奨学生宅訪問

学習の一環として、参加した3名の日本の子どもたち(小学4、5、6年生)は朝早く起きて、パクトン村の子どもたちの労働を見学させてもらいました。朝食で使った食器洗い、家畜のえさやり、さらに餅つきのように大きな木の棒でもみ殻のついたお米を突いてもみ殻を落とす作業も体験しました。以前は近くに流れるセコン川に1日数回水汲みに行くことも子どもの仕事でしたが、水道ができたのでその作業はなくなりました(その代わり、水道代を支払う現金収入が必要になっていると思います)。

早朝の労働体験

セコン川の向こう側にあるベンヤー小学校(かつてはパクトン小学校の分校でした)にも毎回訪れていたので、今回も2日目の午前中に訪問したところ、嬉しい驚きがありました。2007年から毎回参加している飯塚さんは写真撮影を趣味としていて、パクトン村に来ると村人や風景の写真を撮り歩き、次回の訪問時に写真に写っている人にプリントを差し上げてきました。今回、ベンヤー小学校を訪問した際、飯塚さんが支援していた2人の元奨学生が同校の先生になっていることが分かりました。そのうち一人の女性シィング(Thing)さんは、彼女と飯塚さんが写っている写真を手に持って待っていました。そして飯塚さんの前で泣きながら「奨学金がなければ、今の私はありません」とお礼を述べました。

6年ぶりに再会したシィングさんと飯塚さん

ここ100年あまりのラオスの歴史を振り返ってみると、フランスの植民地(1905年) → 国の独立(1953年)前後から政府軍(王国軍)とパテトラオの内戦 → ベトナム戦争(~1975年) → 東西冷戦では東側に組み込まれて経済が停滞 → 東西冷戦後、重債務貧困国に、というふうにラオスは厳しい負の歴史を通り抜けてきました。今も経済的に厳しい状況はあまり変わっていないように思います。そこからラオスが明るい未来を築いていくためには、国全体の教育レベルが上がらなくてはならず、教育支援はまだまだ必要なのだと感じました。教育支援の成果はすぐには現れず、2世代3世代と長い時間がかかりますが、「板倉ラオスの会」の息の長~い交流と支援はそんなラオスにぴったり。支援の成果は少しずつ花開いているように思いますが、今回の旅行での楽しい交流と同時に村の厳しい現実を見たことから、さらに今後もその支援が続くことを願っております。

 

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。皆様からのご支援、お待ちしております。

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