はがき収集によるダルニー奨学金支援 ~中学卒業を迎えたカイケオ君からの手紙~
大阪市阿倍野区のボランティア団体「あべのグリーンカレッジ」様は、2003年から21年間、書き損じはがき収集を通じて、ラオスの子どもたちの奨学金支援をしてくださっています。2022年までに提供いただいた奨学金口数は152口にものぼります。
これまで、バザーの収益金を社会福祉協議会へ寄付したり、アルミ缶を回収して図書券に換え、地元の幼稚園に絵本を贈呈するなどの活動も行ってこられましたが、民際センターへのはがき支援はもっとも長く続いている活動だと伺っています。
毎年、地元のコミュニティ新聞『アベノタウン』によるはがき収集の記事掲載協力を通じて、地域のみなさんからあべのグリーンカレッジ様へ多くの書き損じはがきが寄せられるそうです。そして民際センターからお届けする奨学生の写真と奨学金証書を『アベノタウン』へ掲載してもらうことで、支援が無事に届いたことを協力者のみなさんに報告し、さらに翌年の支援につながっていくといいます。
このたび、2019年秋から支援いただいていたラオスの中学生からお手紙をお預かりしました。ダルニー奨学⾦のおかげで中学校中退を免れたカイケオ君から、卒業直前の2023年5月に届いたメッセージをご紹介します。
あべのグリーンカレッジ様
僕の名前はカーンカム カイケオ、14歳です。カムアン県にある中学校の4年生です(※ラオスの中学校は4年制です)。ナブアブという村に、祖父母、母、妹と暮らしています。僕は3人きょうだいの2番目ですが、姉はサワンナケート県の短大でITの勉強を続けています。両親は何年も前に離婚し、父はすでに新しい家族と暮らしているため、僕ら家族には会いに来ません。祖父母は小さな田んぼで稲を、母は畑で野菜を育てており、収穫すると家族の食料にしたり売ったりしています。
学校が終わると毎日祖母と一緒に皿洗い、掃除、ニワトリとアヒルのえさやりなどの家事を手伝います。時には年老いた祖父の世話をすることもあります。
家畜の餌やりは日課のひとつ
中学校の4年間、奨学金を通じて僕のことをずっとサポートしてくださったご支援者である「あべのグリーンカレッジ」様に感謝しています。ご支援のおかげで、家族の経済的な負担がだいぶ軽くなり、勉強を続けることもでき、そして生活が良くなりました。
このような機会をいただけてとても嬉しく思います。学校ではベストを尽くします。現在、中学校の最終学年なので、卒業後は高校にも進学したいと考えています。奨学金支援をいただいたおかげでこれまで中途退学せずにすみました。本当にありがとうございます。ご支援者の皆様のお幸せをお祈りしています。
カーンカム カイケオ より
中学校の教室で学ぶカイケオ君(右列中央)
皆様からのはがき収集によるご支援は「ダルニー奨学金」として、カイケオ君のように経済的に恵まれない子どもたちの就学支援に充てさせていただいています。
ラオスでは中学校修了率が約53%であるのに対し、⾼校修了率は約31%(世界子供白書2021)。中学校に比べて高校はさらに遠距離通学になるため、通い続けるためには通常の学⽤品に加えて、交通費や寮費がかさみます。農業のみで細々と生計を立てるカイケオ君のような家庭では、こうした学費が家計を圧迫し、中途退学を余儀なくされるケースが絶えません。民際センターでは昨年度より、高校奨学金制度「HOPE奨学金」事業もスタートしました。ぜひ皆様からのご支援をお待ちしております。
「HOPE奨学金」は、顔が見える、成長が見守れる高校生の奨学金制度です。
質の高い教育を、国の未来を担う高校生たちに提供したいという想いからスタートしました。
1日当たり100円、月々3,000円、年間36,000円の支援で、生徒が1年間高校に通うことができます。
皆様からのご支援、お待ちしております。