ラオス図書館活用事例:ヤンカム小中学校
ラオス南部、サワンナケート県にあるサイブーリー郡・ヤンカム村の小中学校へ、2014年に1棟の図書館が建設されました。民際センターを通じてこの図書館建設プロジェクト(※)を支援してくださったのは、渡辺様という女性でした。※現在このプロジェクトは新規では取り扱っておりません。
ヤンカム小中学校の図書館
当時、教育政策を推進したい一方でなかなか教育予算を確保できないラオスでは、農村部の学校に図書館のような設備はほとんどない状況でした。そのような背景の中で、ヤンカム小中学校の図書館は、読書を習慣づけて子どもたちの知識・想像力を養うこと、そして教師の質の向上、学習方法の多様化、教育水準の向上をめざして建てられました。
図書館完成から9年。これまでヤンカム小中学校では渡辺様のご支援のもと、読書奨励活動として毎年2回の読書感想文コンテストを開催してきました。コロナ禍で中止になっていたコンテストが再開された昨年、渡辺様から追加のご寄付をいただき、修繕などを含むヤンカム図書館の継続的運営に充てることが決まりました。図書館・蔵書活用の一環として、最初に民際センターラオス事業所から提案されたのは「読み聞かせトレーニング」でした。
このトレーニングは、ラオス国立図書館での勤務経験があるラオス事業所の職員が中心となり、ヤンカム小中学校の教師・生徒に読み聞かせのスキルを教えるというものです。トレーニング後のフォローアップや事後評価を含むもので、全3回の計画で実施します。
2023年3月下旬に第1回として早速「読み聞かせトレーニング」が実施され、ラオス事業所から渡辺様へビデオレポートが届きました。ここではそのダイジェストを、写真を中心に皆様へご紹介します。
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トレーニング当日は、小学校教師5名、中学校教師5名、幼稚園教師1名と、小学生7名、中学生10名が参加しました。またオブザーバーとして郡教育局職員や、小中学校から両校長も列席しました。
参加した教師・生徒はトレーニング後、授業でそれらを実践するリーダーとなります
ラオス事業所職員(左)と、郡教育局職員・学校長たち(右)
トレーニングの内容は「図書の分類方法について」「読み聞かせのための図書選定について」「興味を惹きつける読み聞かせ方法について」など多岐にわたります。
講義中の様子
講義に耳を傾ける参加生徒たち
またトレーニングの一環として、「折り紙」の折り方を口頭でわかりやすく説明し、聞き手にある形を作らせるという練習も行いました。
説明どおりに折り紙で形を作っていきます
説明をもとに、折り方を教え合う参加生徒たち
ラオス事業所職員からの講義終了後、受講した教師たちは早速、授業で読み聞かせの実践トレーニングを行いました。今後はこうした実践を続けながら教師たちのスキルに磨きをかけ、生徒の読書活動の活性化と図書館の有効利用につなげていくことになります。
読み聞かせの実践トレーニングの様子
ヤンカム図書館は、平日月曜から金曜まで開館し、月・水・金は中学生、火・木は小学生の利用日と決められています。また、教科書を持っていない生徒たちのために貸し出すテキストなども保管しており、渡辺様のご支援による定期的な蔵書の補充とともに、授業に活用できる教材などもあわせて寄贈することで、利用の活性化を図っています。
開館日には下の写真のように賑わいますが、さらに読書の輪が広がり、図書館へ立ち寄る生徒たちが増えることをめざして、引き続き渡辺様とともに活動・運営を続けてまいります。
生徒たちから渡辺様へ感謝のメッセージ
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民際センターでは現在、図書館建設プロジェクトは取り扱っておりませんが、ラオスの支援対象4県内の小中学校へ本を届ける「図書支援プロジェクト」を、支援者の皆様と継続して行っています。ヤンカム小中学校のような充実した図書館を持つ学校はまだまだ少数であり、子どもたちの豊かな読書経験を増やしていくために、ぜひご支援をご検討ください。