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5月 2022

女性教師の嘆きで分かった タイ東北部の現状と1口の支援の大切さ

民際センターの設立者、理事長の秋尾が設立当初からの歴史を振り返ります。
ダルニー奨学金支援を開始した頃、タイの学校を訪問したときのお話です。

 支援開始当時の支援者、タイの生徒、先生方(理事長の秋尾:左端上段から二番目)

 

ダルニー奨学金の支援開始から1年余りが過ぎ、タイから2回目の奨学金証書が日本の支援者に届き始めました。その直後から下記のような数え切れないクレームをいただきました。

・昨年の写真と見比べたところ、同じ生徒の顔だが名前が違う
・集合写真の中から生徒の顔だけを切り抜いた写真で小さくてよくわからない
・昨年の年収と今年の年収は10倍違う

これにはそれぞれ、方言の発音と標準語の発音の違い、写真の現像代の節約、農家は年収をそもそも知らないためなど理由があったのですが、この機に現地の状況を知ろうと、タイ事業所のスタッフ、支援者様と共にタイ東北地方ウドンタニ県の各学校の先生を訪ねました。

朝9時から始まる説明会会場に到着。300名収容の大きな会場に8時50分になっても参加する先生はごくわずか。椅子を片付けて、小規模な会場に変えるように提案したが、「心配いりませんよ。」とプー(タイ事業所スタッフ)の言葉の通り、9時になると先生方が続々と集まり会場は満席に。公務員の制服を着た中年から年配の先生方が集まった光景は実に圧巻でした。説明に立つプーは当時24歳。本日の会議の趣旨説明と、日本人の参加者の紹介をし、奨学金における生徒の選考方法や書類提出日などの実務的なことを説明していると、突然、一人の女性教師が立ち上がり、「代表の方が日本から来られているので、私たちが日々直面している問題について、聞いてもらいたいのです。少々お時間をいただければ幸いです。」と礼儀正しく、イサーン特有の女性の冷静な口調で許しを請うたのです。私は思いがけない要望に耳を傾けることにしました。

先生は悲痛な思いをこのように話してくれました。「先週、夜中に、成績も優秀、かわいらしい女生徒が私の宿舎に泣きながらやってきて言うのです。「先生、私は売られて明日早朝、村を出なければなりません。今晩は泊めてください」と。泣きながら「先生、来世はお金持ちの家に生まれて、中学校を卒業したいです。」と一晩中泣いていました。何とか彼女を助けたいと思いましたが、私にはその力がないのです。」

先生の発言は、あたかもその日集まった300余名の声を代表しているように感じました。タイ東北部の子どもの現状と、それを守ろうとする先生の熱意に触れ、一口のダルニー奨学金が子どもたちの将来を大きく左右することに気付き、支援の重要性を痛感したのでした。

*ダルニー通信88号 今は昔「民際センター物語」(第二回目)掲載

過去のダルニー通信はこちらから

 

「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。皆様からのご支援、お待ちしております。

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