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8月 2023

マンション住民と歩んだ18年間のはがき支援

民際センターの活動はさまざまな個人、企業、団体の皆様に支えられています。今回は、マンション自治会として18年間欠かさず書き損じはがきによる支援を続けてくださっている「ニュータウンオークボ自治会」様の活動事例をご紹介します。

 

きっかけは小さな新聞記事

東京都新宿区にあるマンション「ニュータウンオークボ」は2棟から成り、ビル群と緑豊かな文教エリアの両方に囲まれています(写真①)。同自治会長の山内様は、2004年12月のある日、日本民際交流センター(現在の公益財団法人 民際センター)の書き損じはがき支援について書かれた小さな新聞記事を目にしました。タイとラオス(※1)の子どもたちを奨学金で支援していること、活動の一環として書き損じはがきの提供も受け付けていることを知り、自治会を通じての支援を提案してくださったといいます。「余ったはがきが恵まれない子どもたちの就学につながるなら」と自治会で承認され、さっそく翌年からマンション内ではがき収集の呼びかけを開始。同自治会から初めて民際センターに寄付が寄せられたのは2006年6月のことでした。
※1 2004年当時の正式な奨学金支援対象国は、タイとラオスの2ヵ国でした。

写真①:マンションに隣接する高層ビルと緑豊かな公園

手作りのポスターではがき収集を呼びかけ

2棟のマンションそれぞれの入口をくぐると住民向けの掲示板があり、そこには年間を通じて自治会長様手作りのポスターが貼られています(写真②)。「あなたの善意で、子供が救われます。」という呼びかけに賛同したマンション住民の方々が、収集担当者のポストへご自身の名前・部屋番号を記載してはがきを寄付するというシステムです。掲示板はよく目につく場所にあり、たまたまマンションへ訪ねてきた住民以外の方からも未使用はがきが寄せられたことがあるそうです。

写真②:はがき支援を呼びかける手作りのポスター

毎年6月の総会を経て、民際センターへ

自治会でのはがき収集は毎年6月にスタートし、翌年5月末日に締め切られます。寄せられた大量のはがきはいったん自治会長様が集計し、はがきから切手、切手から現金へと2度の交換を経て、6月中旬に開催される自治会総会でまず住民の皆様へ報告されます。その後、民際センター事務局へ支援が届けられますが、寄付の受け渡し時には必ず民際センター職員と写真を撮影し、自治会への報告に添えてくださっています。2006年の支援開始当時はちょうどラオスのダルニ ー奨学金(※当時は小学生対象)の締め切り前だったことをきっかけに、以来18年間、同自治会様からのご寄付は継続してラオスの子どもたちの就学に充てられています。

奨学生たちの写真も掲示板で報告

はがき収集後の自治会への報告方法についても伺いました。ご協力くださった住民の方々には、自治会長様から個別にお礼のお手紙を届けていらっしゃるとのこと。また、毎年12月頃に民際センターからラオスのダルニー奨学金証書が届くと、自治会長様がそれらをコピーしてポスターにまとめ、掲示板に掲げるそうです(写真③・④)。「苦労して集めたはがきの支援がだれに届いたかが、生徒の写真とともに奨学金証書できちんと報告されること。それが民際センターの一番の強みであり、私たちが支援先に選んだ理由です。」

写真③:記念すべき最初のダルニー奨学金証書が届いたときの掲示ポスター

 

写真④:過去の掲示物、奨学金証書、生徒の写真はすべて大切に保管されています

いかに手数料を少なく済ませるか

自治会長様にはがき収集のご苦労について伺ったところ、「住民の方々が集めた大切なはがきを、交換時にいかに手数料を抑えて換金するか」だと教えてくださいました。2023年4月より、日本郵便でのはがきから切手への交換手数料は、一度に100枚以上の場合、1枚5円から10円に値上がりしました。このため、自治会長様ははがきが100枚以下になるよう小分けにして郵便局に持ち込み、手数料を半額に抑えています(※2)。また、切手から現金への交換の際には、新宿をはじめ、新橋や中野などさまざまな店舗へ足を運び、より良いレートでの現金化に努めているといいます。ある時、自治会長様が交換所店頭で「この切手はラオスの子どもたちの就学支援に役立つんですよ」とお話しすると、店員から「私たちの仕事が国際貢献になっているなんて」と感激されたことがとても印象に残っているそうです。
※2 民際センターでは業務上、はがきから切手への交換時に一度に数千枚をまとめて郵便局へ持ち込む必要があるため、手数料として1枚につき一律10円が差し引かれています。

自治会主催の「感謝の集い」

2018年、新宿の某レストランにて自治会主催の「ダルニー奨学金 感謝の集い」が行われました(写真⑤)。はがき支援をしてくださった住民の皆様のうち40名弱が参加される中、民際センター理事長の秋尾も講演者として招かれました。当時の住民の方からのメッセージを拝見すると「高齢になりましたが、元気なうちは微力ながらダルニー奨学金に協力したい」「書き損じはがきで子どもたちに勉強の機会を与えられる素晴らしい活動だ」など、掲示板のポスターを通じて広がった“活動の輪”の一端を知ることができます。民際センターとしても、日頃のご支援への感謝を直接お伝えできる場を設けていただいたことは、大変貴重な機会であり、この上ない喜びでした。

写真⑤:「感謝の集い」の写真と、式次第

はがき収集は、「使われなくなったものを活用する」という視点で見ると、募金とは異なる活動のしやすさがあると、自治会長様が話してくださいました。近年はがきの利用者そのものが減少しつつあり、収集に困難を伴うケースも耳にしますが、どうか今後ともご無理のない範囲で活動を続けていただければと願っております。この場をお借りして、同自治会様の長年のご支援に、職員一同あらためて御礼申し上げます。

「感謝の集い」での自治会長様(左)と民際センター理事長(右)

今回お話を伺ったニュータウンオークボ自治会様をはじめ、民際センターの書き損じはがき支援は多くの皆様に支えられています。ご友人やご近所の皆様、職場や学校での収集活動にご関心のある方は、ぜひお気軽に事務局までお問い合わせください。

書き損じはがき収集について詳しくはこちらボタン

問い合わせボタン

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