家族のために戦う小学6年生 タイ
家庭が非常に貧しく、家族のためにムエタイでお金を稼ぐタイの小学6年生、ジャッカポーン・ラムキッカーンディーくん。彼は2021年度のダルニー奨学金を希望しています。その申請のために小学校の先生が送ってくれた彼の手紙と写真をご紹介いたします。
僕の名前はジャッカポーン・ラムキッカーンディー、ニックネームはマーチです。12歳で、現在カラシン県ヤンタラート郡の小学校に通う6年生です。両親は一人っ子の僕が産まれてすぐに離婚し、父はその後再婚し新しい家庭を作り去っていきました。両親に捨てられた僕は、幼い時から父方の祖父母の下で育てられました。風の便りでは父は今バンコクで働いているとのことです。
祖母が高血圧を患って度々病院通いをしているうちに、祖父は気落ちしてうつ病になってしまい、やむなく祖母が一人で家計を支えています。家の近所の池で貝を採って市場で売りますが、時には思うように貝が採れない日もあり、収入は常に不安定です。そんな時は食事にも事欠きます。稼ぎがある日には食べられるという全くその日暮らしの家族です。
我が家は田んぼも持っていないので、主食の米も買わねばなりません。住居は、親切な大家さんが無償で住まわせてくれている建物です。でも床は、他の家のようにセメントやタイルではなくて、土のままです。祖母の具合が悪くて働けずお金が無い時は、祖母が保存している干し魚を使って僕がご飯を準備します。
ある日、僕は少年ムエタイの大会に参加して、お金を稼いでおばあちゃんを助けよう!と決心しました。村でイベントがあった時に、ファイトマネーとして200バーツ(約700円)を手に入れたのです。傷だらけになりながらもとても幸せな気分でした。家族のために稼げたなんて。その満足感で痛みも気になりませんでした。賞金は食費として全部祖母に渡しました。僕は時々10~20バーツ(約35~70円)のお小遣いをもらいますが、毎日ではありません。昼ご飯代がいくらかにもよりますが、常にできる限り節約をして、学校での諸費用例えばボーイスカウトや社会科見学の代金に充てます。
僕は体育の授業が好きです。スポーツや体を動かすことが大好きだからです。僕はクラスで一番小さい体格なのですが、体育は身体ばかりではなく精神力も強く育ててくれると思います。自由時間があれば、友だちとお寺の敷地でサッカーをしたり、また次のムエタイのイベントで、誰かが僕を雇ってくれるようにムエタイの稽古をしたりしています。
僕は常に、自分では産まれてくる場所は選べないけれど、自分がするべき善いこと、正しいことは選ぶことができると信じています。もし、奨学金を貰えたら、祖母はとても幸せに思うでしょう。祖母は自分の人生のように苦労続きではなく、今よりいい人生を送ることができるように、僕にはもっと高い教育を受けてほしいと願ってくれているからです。奨学金を貰うことができたら、僕はまず靴を買いたいです。今の靴はあまりにも古くて小さすぎるのです。僕の夢はスポーツ選手か指導者になるために体育専門学校に進むことです。でも、現実的には中学卒業後、少なくとも職業訓練学校に進むことになると思います。そうすれば手に職をつけ、少しでも早く祖父母の面倒を見ることができるからです。奨学金をいただけたら、最も有効に活かせるように一所懸命勉強しベストを尽くすことを誓います。
「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。
タイの締切は3月31日です