タイ 自分と同じ困難に直面する子どもたちを支えたい
ウドーン県の学校で24年間ダルニー奨学金の担当を務めているマライ・ティアムウォン先生。自身の苦労した体験と、生徒を支える喜びを話してくれました。
勉強をあきらめなかった子ども時代
私はマライ・ティアムウォン、教師を務めて29年になります。ダルニー奨学金の担当教員になってからは24年の月日が流れました。
私は子どものころから教師を目指していました。当時農村部に住む子どもたちは経済的な問題からあまり教育の機会がありませんでした。私も例外ではなく、勉強は大好きでしたが時には日々の食料にも困るほど家庭が貧しかったため、勉強を続けるのは難しい状況でした。そのため、当時は大学で勉強をして、卒業証書をもらうことを夢見ているだけでした。ついに、高校生になったとき、両親は私の学費を工面することができなくなってしまい、私は学校を辞めなくてはいけなくなりました。しかし夢をあきらめきれず、昼は農業や日雇いの仕事をして学費を稼ぎながら、成人学級と呼ばれる夜間制の学校に通い勉強を続けました。
私の両親は場所を転々としながら仕事をしていたため、私は祖母と一緒に暮らし、学費は自分で稼がなくてはいけませんでした。当時の生活環境はとても過酷なもので、学士号を取得するまで経済状況の他にも様々な問題がありました。成人学級を卒業して高卒の資格を得たのち、バンコクの大学で勉強を続けましたが大学生活は辛く、厳しいものでした。食べるものすらなくなってしまい、お寺に無償で配っている食料はないか聞きに行ったこともあります。本当に必要なもの以外にお金を使うことはできませんでした。
大学では、教育学を専攻しました。いつの日か教師になり、自分と同じような境遇の子どもたちを助けたかったからです。勉強が好きなのに学校へ行くことが難しい状況にいる子どもたちを助け、生活環境を改善するためにサポートすると誓いました。そうして勉強に励み、知識や経験をできる限り身に付けました。卒業して教師になる夢が叶ったあと、私はダルニー奨学金を担当する先生と一緒に働き、自分の知識や能力、人生経験を生徒たちに伝え、子どもたちを支援してきました。
生徒の抱える問題の変化
現在も私の時代と同じように、経済的に困窮している家庭の子どもは、親は遠くに移住して家族を支えるためにお金を稼ぎ、子どもたちは祖父母や親族と共に暮らす、もしくは一人暮らしを余儀なくされています。昔と異なるのは、現代は携帯電話やインターネット環境なくして周囲との連絡や、特に新型コロナウイルスが流行してからは勉強を続けることができなくなってしまったことです。食費や生活費の他に、電子機器の購入費や通信費などが負担になっています。
そのため、奨学金は生徒にとってとても重要なものです。彼らは奨学金を学校の教材購入に使ったり、交通費に使ったりして、家計の負担を軽減することができます。また、生徒たちは自分が奨学生に選ばれることを誇りにしていて、私は彼らのことを「EDFチルドレン」と呼んでいます。担当教員としてEDFグループの奨学金事業に携わり、生徒一人ひとりの家庭環境を見極めながら奨学生を選抜して彼らを支えることは私の誇りであり、喜びです。生徒たちを支えてくれるEDFグループと支援者の皆様に心から感謝いたします。
EDFのスタッフはいつも私たち担当教員と綿密なコミュニケーションをとる体制を作ってくれていて、何か問題が起こったときも迅速に対応し、アドバイスをしてくれます。そのおかげで今まで24年間担当教員を続けることができています。
子どもたちを支えてくれている支援者の皆様に、あらためて心からの感謝を申し上げます。その温かい心で、生徒たちに勉強の機会を与えてくださり本当にありがとうございます。ご支援してくださっている全ての皆様の健康と繁栄、これからのご活躍をお祈りしています。
「ダルニー奨学金」は、ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える、顔が見える、成長が見守れる、1対1の国際里親制度の教育支援システムです。1日当たり40円、月々1,200円、年間14,400円の支援で、子どもが1年間学校に通うことができます。皆様からのご支援、お待ちしております。
ダルニー奨学金について