奨学金を待つ子どもたちの声 ~カンボジア~
経済的な格差は、そのまま子どもたちが受ける教育の格差につながります。カンボジアでも中学校3年生までの義務教育における教育費は無料です。経済的に恵まれない子どもの親は、制服や学用品、交通費を払うことができず、子どもたちは9年間の義務教育さえも満足に受けることができません。カンボジアの貧困の理由として、人口の85%は地方に住み、その多くは農民であることが挙げられます。農作物による収入は天候に左右される上に、耕すことができる農地が少ないため、畑を持っていない人も多く持っていてもそれはとても小さく収入が極端に少ないからです。そして、その貧困は、子どもたちの教育に暗い影を落とします。
今回は、カンボジアの地方に暮らす中学生、経済的に恵まれないため支援がなければ中学校で勉強を続けることができないを子どもたちの様子をご紹介します。彼らは、みな成績優秀で勉強が大好きです。そして、みんな口をそろえて学校を辞めたくないと言います。
*以下にご紹介する子どもたちは、ダルニー奨学金を受け取る予定です。
ナット・リ・ドウさん(13才)
家の中で
家の前で手伝いをするナット
ナット・リ・ドウはカンポン・トム県に住む中学校1年生で将来は歴史の先生になりたいと思っています。彼女は、9人兄弟の末っ子ですが、兄や姉は貧しさのため小学校を辞めて家計を助けるため働かざるを得ませんでした。ナットの家族は、自分たちの農地を持っていなかったので、ヤシの実ジュースを売って生計を立てることにしました。両親は、一生懸命ジュースを作って売りますが1日の売り上げは多くて15,000リエル(日本円で約400円)です。売れ行きは、不安定で乾季(11月~4月)にしかできません。ナットは、「私は先生になるために一生懸命勉強したい。両親、兄や姉のように学校を辞めたくないのです。勉強を続けることができるように、放課後や休みの日にはジュース作りや販売の手伝いをします」と言います。
ブン・ソムナングさん(13才)
家の中で
家族と
ブン・ソムナングはカンポン・トム県に住む中学校1年生で将来は先生になりたいと思っています。彼は9人兄弟の上から5番目で上の兄弟は生活を支えるために働かなければならず、学校を中退しました。ブンの父は「私は、農地を持っていない上に定職もありません。魚を取ってそれを売り生計を立てていますが、その収入は1日15,000リエル(日本円で約400円)です。子どもたちには苦労をかけて申し訳ないと思っています。ブンの姉は高校に行けるぐらい成績が良かったのだけど、町の高校に通わせるだけのお金がなくて諦めたのです」と言います。ブンは、「勉強が好きで将来は先生になりたいです。教育を受けて安定した仕事をしたいと思っています。でも、それは難しいのかもしれないと思うのです。学校の先生になったら、両親を助けてそして、学校にいる以外の時間は、授業の準備をして子どもたちにわかりやすい授業をしたいです」と言います。
オル・チャンナさん(15才)
家の中で勉強をするオル
家の前で家族と
オル・チャナンは、カンボジアのカンポン・トム県に住む中学校2年生、4人兄弟の一番上です。彼女の家族はとても貧しく、家はヤシの皮の壁とプラスチックの屋根でできていて、昼間、家の中はとても暑く、雨風が強いときは一部が壊れてしまいます。オルは、将来は看護師になりたいと思っています。それを目標に生懸命勉強して、その結果、成績は良く28人いるクラスメートの中で成績は上から3番目です。彼女の両親は、猫の額ほどの畑を耕す以外は、安定した仕事はありません。その他、日雇い労働を行いますがその収入はわずかで家族が暮らしていくには十分ではありません。両親は、教育を十分には受けていません。でも、彼らの娘、オルには勉強を続けて自分たちとは違う安定した職業についてほしいと思っています。彼女も、教育を受けて将来は専門性のある仕事について、少し空いた時間には予習復習をしたいと思っています。でも、今は空いた時間に、畑で耕作や刈り入れを手伝います。
ヨーン・スレイニットさん(15才)
畑仕事を手伝うヨーン
家の前で家族と
ヨーン・スレイニットは中学校二年生で、4人兄弟の上から2番目です。学校での成績はクラス28人中6番で将来はクメール語(国語)の先生になりたいと思っています。ヨーンの両親は、5年前に離婚し、2人とも村を離れてしまったため、ヨーンたち兄弟の面倒を彼らの叔母と祖父母にお願いしました。その叔母は村のクリーニング店で休むことなく働きますが、精神病を患っていて思ったようには働くことができません。彼女の兄は、生活のため、中学校3年生で学校を辞めざるを得ず、今は家を出て働いて家計を助けています。ヨーンは勉強が大好きで、叔母の手伝いで疲れている時も頑張って学校に通います。そして、学校へ行く以外の時間は、野菜を育て、そしてご近所の仕事を手伝い家計を助けます。
「ダルニー奨学金」制度は、経済的貧困で中学教育を受けられない子どもたちを支援する国際教育里親システムです。ドナー1人につき1人の子どもを支援し、子どもには誰が支援してくれているのかを伝える”1対1の顔の見える教育支援”です。14,400円で1人の子どもが1年間中学校に通うことができます。
カンボジアの締切は7月20日です。