高校生向けの開発教材『グローバル教育』が発刊しました。
3月に開発教材『グローバル教育』(株式会社メディア総合研究所:1,900円)が発刊されました。
執筆者は、海外滞在の経験があり、勤務する高校でグローバルな視点で授業を行なってきた高校の教師たちです(弊団体職員の冨田も執筆しています)。
この地球上には様々な価値観があり、また多くの問題を抱えており、コミュニケーションを通じて力を合わせて一緒に問題を解決する力や気持ちを育む授業の組み立て方を紹介しています。
授業の例として、「ワールドカフェ ~簡単により多くの意見に出会う~」。
進め方として、
①5~6人のグループに分かれ、中央に模造紙を置く。
②意見を交換して模造紙に意見を書く。
③決められた時間(5~20分)後、各グループから一人を残してバラバラに別のグループに移動する。
④残った人は新しく来た人にこれまでの話し合いの内容を伝える。新しいメンバーは、自分がいたグループの意見を伝え、模造紙に書き込む。2~3回くり返し、最後のラウンドで最初のグループに戻り、他のグループで得た情報を伝え、新しい考えを共有する。
次に、「ワールドカフェ」の手法を使って「日本の食料自給率と農業」の課題を考えてみる――。
食料自給率はカロリーベースで、例えば、カナダ168%、米国124%、フランス111%ですが、日本は39%。
しかし、日本の主要生産物となると、コメと野菜が各約80%、畜産物は約60%と高い数字です。
野菜の栽培に使う化学肥料の原料はほとんど輸入なので、この輸入分を加味すると畜産の自給率は再び16%に下がる。
さて、人口は2050年に91億人に増加。さらに開発途上国の発展に伴い、食生活の変化による穀物需要の増加などで肥料価格が高騰すると予測されている。
ところで、化学肥料の鉱物資源であるリンは、リサイクルが行われている。
日本国内の汚泥には豊富な量のリン酸が含まれており、これをリサイクルすると、輸入するリン資源の12~16%に相当する量が得られると言われている。
そこで1トン当たりにリンの輸入価格とリサイクル価格を比べると・・・と話していき、「ワールドカフェ」方式で授業をする。
生徒はグループに別れて各グループには「日本の食料自給率が39%だが、なぜそれが問題なのか」、「食料自給率を高めるために、地域でできることは何か?」というテーマを与えて、上記の方法で食料問題を解決するためのアイデアを自由に出してもらう・・・。
この本には、このような授業の組み立て方とテーマが盛りだくさん。
中学・高校はもちろん、職場などでもご活用いただいて、楽しみながら様々な地球的課題の解決に取り組んでみてはいかがでしょうか。