平和を願い
A wish for peace.
明治維新の頃に書かれたロシアの偉大な作家、トルストイの小説「戦争と平和」の言葉に象徴されるように、正に20世紀前半は国家と国家が対立した戦争そして後半は冷戦構造の時代だったと言えましょう。1991年のソ連の崩壊でいよいよ平和の到来かと思いきや、911の同時多発テロで21世紀の幕が開けました。21世紀は平和の時代、そして、人類の課題・地球の課題に取り組む時が来たかと期待をしましたが、残念ながら、現在起こっているウクライナ情勢は、国家間の対立という20世紀型時代に逆戻りした感があります。
報道やSNSの情報だけでは、偏りがちで、いろいろな意見や見方があり、何が本当の原因で何が正しいのか判断に苦しむのが現状かと思います。
ただ言える事は、「人の命は何よりも重い」、しかし、無謀にも多くの死者が出ている現実があります。戦争により市民を巻き込み、地球の未来を担う子どもまで死傷者が出ていることは確かなようです。難民・避難民は1200万人、近隣諸国には400万人が逃れていると言われます。総人口4413万の内、4人に1人以上が避難民化しており、約8%が国外に逃れていることになります。
このような状況の中で、日本の一市民団体である民際センターは、一体、何ができるのか自問しました。民際センターの不変の考え方は、教育支援を通した貧困削減と平和構築への貢献であります。また、民際の民際たる所以は、国家でなく、民と民が協力し、交流することにあります。政治や宗教に関わることなく、世界で起こる自然災害の支援の募金活動を実施し、当該国の市民団体を通して活かされますが、今回のような国際的紛争に対しては、ただ、祈るしかないのが現実かもしれません。
この戦争における犠牲者の冥福を祈り、難民の早期の帰還を願い、この地球上に永久の平和の到来を望みます。
理事長 秋尾 晃正